女性の3割がDV被害者!「DVシェルター」へ駆け込む妻たちが絶えない

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夫の暴力から逃げるには

江戸時代…といえば、まだ男尊女卑社会の真っ只中で、結婚に関しても、男性は女性に「三行半(みくだりはん)」を叩きつけるだけで、簡単に離婚できました。

三行半というのは、半紙三行と半分程度の離婚理由をかいた離縁状なのですが、当時珍しくなかった文字が書けない男性のために、「三行半の線を引いただけの書類でも有効」というメチャクチャなルールだったのです。

ただそんな時代でも女性が離婚したい場合のルールも定められていて、それは「縁切寺へ逃げ込めば離婚は可能」というモノでした。

関東地域で幕府が公認した縁切寺は、鎌倉の東慶寺と群馬の満徳寺で、ここに離婚を決意した女性が駆け込み、寺が保護を認めれば、離婚交渉が寺の働きかけによって進められるシステムです。

DVシェルター現代版の縁切り寺です

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beat 50 / Mysi(new stream: www.flickr.com/photos/mysianne)


度重なる夫からの暴力によって、生命の危機さえある女性というのは、いつの時代でもいるわけです。

日本が昔ムラ社会だった頃は、ダンナが荒れて暴れ始めると、ご近所の人が止めに入ったり、町内の顔役がダンナに説教を垂れたりして、問題が深刻になるのを防いでいました。

しかし、核家族化が進み近所とのコミュニケーションが希薄なった現代では、家庭なの問題まで世話を焼いてくれる人はほとんど居なくなってしまい、現代の女性は家庭内に吹き荒れる暴力に対して、独力で立ち向かわなければならなくなったわけです。

確かに女性は強くなったと言われていますが、女性がすべて強くなったわけではありませんし、暴力的な争いに関して言えば、やはり今も昔も男性のほうが圧倒的に有利でしょう。

夫から暴行や精神的嫌がらせを受けるドメスティックバイオレンス(DV)被害を経験した女性は3割に上ることが20日、内閣府の調査で分かった。DV被害に遭った女性の4割は誰にも相談していなかったことも判明。内閣府は支援活動の広報強化や相談窓口の増加などを検討している。

「女性の3割がDV被害、4割相談せず 内閣府調査」日本経済新聞(2012年4月20日)

そんな背景から近年よく耳にするようになったのが“DVシェルター”という存在です。

DV夫相手では、離婚したくても話し合いなど出来ず、実家や知り合いのところへ逃げても連れ戻されてしまう。このままでは殺されてしまうかもしれないといった恐怖にさらされている女性を保護し、その間に弁護士や代理人がDV夫と離婚交渉などをします。

そんな縁切寺の現代版といえるのが、DVシェルターです。いわゆる避難場所です。

DVシェルターとは、ドメスティックバイオレンス(DV)またはジェンダーバイオレンス(GV)に遭った被害者を、加害の原因たる配偶者等から隔離し保護するための施設。DVシェルターという名前が知られるようになったのは最近だが、いわゆる駆け込み寺のように、弱者を救済しようとする活動の歴史は古い。

DVシェルター Wikipediaより

DV被害に遭っている女性にとっては、ぜひ利用したいシステムなのですが、DVシェルターの受付窓口というのは、あまり知られていません。

DVシェルターの受付窓口が広く知られていない理由

DVシェルターの相談窓口というのは意外に知られていません…というか、シェルターを運営する団体が、積極的に広報活動をしていないのです。中には所在地の住所を公開していない運営団体すら珍しくはありません。

DVシェルターの運営団体が積極的に受付窓口を公開しない理由は、DV夫に所在を掴ませないためだと言われています。

DVシェルターに入るということは、妻が突然家出するのと同じことです。支配欲が強い傾向にあるDV夫は、ブチ切れてストーカー化して意地でも逃げた妻の居所を探そうとするケースが多いようで、そうした追っ手に対して情報を少しでも与えないように、多くのDVシェルターでは直接窓口を広く公開していません。

DVシェルターに入るにはどうしたらいい?

Fallout ShelterFallout Shelter / spi516

そんなDVシェルターに駆け込みたくなった場合、どうすればいいのかという問題です。
福祉事務所に相談するという方法もありますが、一番手っ取り早いのは「警察への相談」でしょう。

自分がDVを受けて命の危険にさらされていることを証明する物証(喧嘩の様子を録音したモノや、怪我をした場所を移した写真など)と一緒に警察署に保護を願い出れば、NPOなどを通じてDVシェルターを紹介してくれます。

ただこの場合、警察に駆け込むとそのままDVシェルターに連れていかれる可能性があります。

銀行の通帳や携帯電話、あるいは保険証など最低限生活に必要なモノは持っていきましょう。

命の危険を感じるほど暴力を受けているのなら迷わずDVシェルターに入ることです。

それから、暴行虐待(DV)を離婚理由とする場合には弁護士など専門家のアドバイスを受けることが重要です。そして、今後の人生設計をじっくり考えていけば良いと思います。

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