【セックスレスは離婚理由になる!?】法律で夫婦のセックスが義務付けられていた

セックスレスが離婚理由になる法的根拠

余計なお世話ですけど、みなさんは、夜の夫婦生活は円満ですか?

というのも、セックスレスが理由で離婚する夫婦が跡を絶ちません。

妻がセックスを拒むケースもあれば、夫が妻に求めなくなるケースもあります。
こうなると、夫婦の危機と呼べる状態ですね。

日本の民法や裁判では夫婦のセックスを重要なものとみなしています。

パートナーがセックスを求めてきた場合、正当な理由なく拒否し続けてはならないということを言ってますが、一体、これはどういう事でしょうか?

まずは、セックスレスの定義から解説していきましょう。


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セックスレスとは

あらためて、「セックスレスとはどのような意味、状態を指すのか?」のおさらいです。Wikipediaによると、以下のように定義されています。

セックスレスとは、日本性科学会によれば、「病気など特別な事情がないのに、1か月以上性交渉がないカップル」と定義されている。しかし、便宜上「カップルのうち、どちらかがセックスをしたいと望んでいるのに、長期間それができない状態」を総じて「セックスレス」と呼ぶのが一般的な解釈である。

<Wikipediaより抜粋>
セックスレス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%B9

ただ単に、セックスが無い男女の関係をイメージしがちですが、そうではなく、どちらかが望んでいるのに、何らかの理由によりセックスをしていないカップル(夫婦、恋人同士)を指します。

日本人夫婦のセックス回数

セックスレスと聞くと、気になるのが自分以外の一般的な夫婦のセックス回数ですね。

少し前のデータになりますが、製薬メーカーのバイエル薬品がおこなった夫婦の性生活に関する調査があります。

「配偶者と、どのくらいの頻度でセックスをしますか?」との問いから、夫婦の年間平均セックス回数は17回という結果が出ました。

しかし、「1年以上していない」と答えた人が全体の3分の1にものぼり、このことから、「する人」と「しない人」の二極化傾向が覗えます。

[参考]
夫婦間の年間平均セックス回数は17回 バイエル薬品株式会社(2006年8月8日)

配偶者とのセックスの頻度アンケート
  1. 一年以上していない 33.9%
  2. 1ヶ月に1度   15.6%
  3. 2週間に1度   12.8%
  4. 半年に1度   10.2%
  5. 3ヶ月に1度   10.2%
  6. 1週間に1度  10.1%
  7. 1年に1度  3.4%
  8. 3日に1度  3.4%
  9. 毎日  0.5%

このデータによると、夫婦においてはセックスを「する人」と「しない人」がはっきり別れる傾向があるようです。

また、年代別で見ると、やはり世代が上がるに連れてセックスの回数は少なくなるようで、60代になると5割以上の人たちが自分たち夫婦はセックスレスだと自覚するようです。

セックスレスで悩む妻と夫

セックスレスが原因で離婚に発展するケースで多いのは、妻も夫も、相手にセックスを求めるものの拒否されるというパターンです。

妻が拒むケースで多いのは、もともとセックスがそんなに好きではなく、子供ができるまではあくまで、生殖行為としておこなっていたというものです。
そのため、子供ができた後は、夫の求めに対しても避けたり、拒んだりするようになります。

一方、夫が妻に求めないケースもあります。この場合は、夫が妻のことを女性として見れなくなるというものです。

こちらも子供ができた後に、この傾向が強くなるようで、妻を女ではなく“お母さん”として見るようになります。そのため、妻とのセックスは義務となり煩わしさを感じるようになります。

また、妻を誘うことに対して何か気恥ずかしさを感じるようになってしまいます。

セックスレスで悩む夫婦

このように、妻・夫ともにセックスレスにおいては出産が一つのターニングポイントと言えそうです。

また、男女ともに、他の理由として挙げるのが、

  • 浮気相手ができた
  • 夫(妻)意外に好きな相手ができた
  • 夫、妻のことを生理的に嫌いになった
  • 病気になった
  • 性的不能になった(ED)

というケースもよく聞かれます。

セックスレスで離婚を考える人のリアルな声

このように、セックスの回数が減ったり、全くおこなわなくなると、相手への不信感も募るものですね。

「夫婦なのに、もう性生活は無いのか…」「このまま、中年、老年になるのか…」など、不安や不満が増幅されます。そして、次第に離婚というものを現実的に考えるようになるようです。

では、実際に悩んでいる人の声を見てみましょう。

妻の意見の参考
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1294163267
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10108308845

夫の意見の参考
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7153560.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12127372662

いずれもセックスレスは辛く、そして悲痛な叫びをあげていますね。

セックスレス禁止の法的根拠は民法第770条「裁判上の離婚」

夫婦間でのセックスレスが、離婚の理由になりうると判断している法的根拠は、民法の770条にある「裁判上の離婚」を定めたものです。

これは、夫婦が離婚するしないで揉めた場合、裁判に訴えられる理由を定めたモノになります。

具体的には以下です。

第770条
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

[参考]
民法第770条 – Wikibooks

この内、セックスレスはどの項目に当たるかといえば、「5」の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当します。

つまり、夫婦なら相手のセックスの求めに対して応える義務があるということを言っています。

セックスレスは離婚時に不利になる

セックスを拒否したり、相手に求めないことで、刑事罰を受けるようなことはありません。また、刑法で裁かれて罰金を取られたり刑務所に行くような話では当然ありません。

離婚調停

しかし、夫婦仲が悪くなって離婚問題にまで発展し、協議や調停でも話し合いがつかず、裁判になってしまった時に、自分が拒否していた当事者の場合、判決が不利になる可能性が高くなります。

どんな行為が不利になるの?

セックスレスが離婚理由の場合に、一方が慰謝料を請求した場合に、裁判所が支払いを命じるケースがあります。

その慰謝料の金額も内容により大きく変わります。

以下の様な項目に該当すれば調停や裁判では不利になる事は覚悟しておかなくてはなりませんね。

  • 結婚したばかりなのに性行為を求めない、拒む
  • 結婚前には性行為があったのに、結婚後に求めない、拒む
  • 結婚後に一度もセックスがない
  • セックスレスの期間が長い
  • セックスレスとともに、モラハラ、DVがあった
  • 夫や妻の浮気が原因のセックスレス

このセックスレスの問題に、言葉の暴力(モラハラ)や暴力を伴う行為(DV)が加わると、さらにパートナーに精神的・肉体的ダメージを与える事になりますので、調停や裁判においてもいっそう不利になります。

セックスレス慰謝料の相場は

過去の離婚調停や裁判の判例などによると、セックスレスが離婚理由となった場合には、慰謝料の相場は一般的に100万円~300万円と言われています。

また、この慰謝料の金額は相手にどれだけ精神的・肉体的にダメージを与えたかにより大きく変わってきます。さらに、慰謝料を支払う側の社会的地位や経済力など諸条件により金額も変わります。

  • 結婚期間の長さ
  • 相手の年収・資産
  • 年齢
  • 職業
  • 養育する子供の年齢や人数

などが考慮されて決定されます。

夫婦間のセックスは月に1回?変わりつつある裁判所の判断

いくら裁判所が夫婦間のセックスレスに批判的だからといって、パートナーに求められたら絶対に応じなければならないかというと、そういうモノでもありません。

これまでの裁判の判例では、だいだい月に1回ぐらいセックスをしていれば、正常な性生活だと認められているようですし、1回や2回拒否したからといって、即離婚の原因になることはないようです。

また、近年は夫婦のあり方にも変化が現れてきており、別に仲が悪くなくてもセックスをほとんどしない夫婦は普通にいます。

そんな風潮が判例重視の法曹界に、すぐに影響されることもないのですが、セックスレスを理由に離婚裁判をおこし、相手から慰謝料をガッポリ取ろうとするような訴訟判決は、見直されている傾向にあります。

他人に言えないセックスレス離婚。誰に相談すればいい?

セックスレスが原因で、「相手から離婚を突きつけられた」しかも、「多額の慰謝料請求を受けている」など、トラブルを抱えた場合には誰に相談すればよいでしょうか?
反対に慰謝料を請求したい場合もあるでしょう。

問題が問題だけに、家族や友人にも相談しにくいものですね。

離婚カウンセラーと称する行政書士やNPO法人などありますが、これらの人たちは話を聞いてくれてアドバイスはできても、具体的な法的手続きに介入することはできません。

法的介入ができない

実際に、離婚トラブルから慰謝料など金銭問題に発展しそうになったら、相談すべきは弁護士という事になります。

特に、調停、裁判になる場合には離婚問題に精通した弁護士を代理人として立てる事で、トラブルや金銭の受け渡しを極力少なくする事が可能になります。

弁護士への相談時には、今までの性生活の「回数」「いつおこなったか」などの情報が必要になります。自分のプレイベートな部分を説明しなくてはなりませんので、恥ずかしいかもしれませんが、これが慰謝料請求する側、される側においても重要な情報となるのです。

今までの性生活を可能な限り思い出してメモに残すようにしておきましょう。


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まとめ

家庭生活を円満にするためには、夫婦の性生活は重要だということは誰もが分かっていることだと思います。

しかし、セックスの悩みは当人しか分からない問題です。拒否する側も様々な感情や嗜好などにより、受け入れることができないのが実情なのです。

また、いくら夫婦でも、セックスのテーマはデリケートな問題であり、当人同士で面と向かって話し合いにくいのも事実です。だからと言って、当人同士が率直に話し合わないと先に進む事はできません。

夫婦の性生活をこれからどうするか意見交換がないままだと、相手への不信感は募るばかりです。

結果的に、行き着く先は“セックスレス離婚”ということになります。
離婚となると、これまで述べてきたようにセックスを拒否した側は離婚調停・訴訟において、夫婦としての義務を果たしていないという事になります。すなわち、判決は不利になります。

夫婦のセックスの悩みやその解決方法は十人十色です。
もし、離婚を避けたいと思うなら、相手の意見や気持ちを尊重し、建設的な解決の落とし所を見つけるしか方法はないようです。

残念ながら、離婚する事が決まったら専門家(弁護士)である第三者に相談の上、手続きを進めていく事が大切ですね。


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