離婚慰謝料請求手続きの失敗から学ぶ対応策
離婚に関する慰謝料や養育費のトラブルは離婚を成立させる場合に限ってだけではありません。慰謝料や養育費の問題は、離婚後の悩みとしても大きなトラブルの種となっています。要するに、離婚後の生活において慰謝料や養育費について後悔する人が急増しているということです。
今後、離婚に際しての慰謝料や養育費を検討している方であれば、あの手この手で離婚に関する情報をリサーチしていることでしょう。しかし、解決策や方法を見つけ出す前に事前に把握しておきたいことが『他人の失敗例』です。過去の失敗には未来へのヒントが隠されています。離婚後、慰謝料や養育費について後悔したケースを参考にしながら今後の対応策を検討しなければなりません。
失敗例1 安易な判断で合意書にサインした
【失敗談】
夫の浮気が原因で離婚が成立しました。その際、慰謝料を500万円支払うという約束で合意書に署名捺印したのですが、後日内容を確認すると『養育費や生活費、財産分与の請求は一切しない』という記述があり、結果的に養育費を請求することができなくなりました。あれから半年が経過しました。何か良い手立てはないでしょうか。
【解決策】
まずは相手に合意書の契約を取り消してもらわなくてはなりません。その際は受け取った慰謝料も全額返金します。それでも相手が応じない場合には、家庭裁判所に申し出を行い、調停による解決を試みます。そうすることで合意書は無効となり養育費を請求することが可能となります。
また、調停を行うことで慰謝料の減額、または消滅が余儀なくされることもあります。そうなると、養育費の請求を諦めるか、現在の慰謝料を返金して再度、養育費の取り決めを行うかの選択を迫られることとなるでしょう。慰謝料の請求期限は離婚後3年まで、財産分与については離婚後2年までです。
結論としては合意書の取り消しを相手に要求し、承諾が得られなければ家庭裁判所の調停による解決となります。このケースの場合、離婚が成立してから半年なので、慰謝料の請求、財産分与、養育費の取り決め、全てについて話し合うこととなりますね。どちらにしても、安易な判断で合意書にサインしてはいけません。
失敗例2 信用して口約束だけで成立させた
【失敗談】
結婚して7年、性格の不一致が原因で離婚しました。離婚する際に養育費を取り決めたのですが、契約書も交わさず口約束で終わりました。結婚生活では毎月の給料をほとんど私に渡していたしギャンブルも女癖も悪くなく、不安要素が無かったので信用してしまいました。ですが、離婚してから最初の1年は払い続けてくれましたがその後支払いがありません。相手に電話しても納得のいく回答が得られないでいます。
【対応策】
典型的な未払い症候群です。残酷なことを言うようですが離婚すれば他人となってしまいます。信用とは不透明な不安要素に過ぎません。養育費を取り決めたのであれば『離婚協議書』を作成して『公正証書』として締結しなければ得策とは言えません。万が一、不払いになった時、相手の給料や財産の差し押さえなど強制執行が可能となります。
現時点での対応策は養育費の取り決めを再度行うことです。養育費の請求権は子供が成人するまでの間であれば時効はありません。いつでも請求することが可能です。相手が話し合いに応じない場合には弁護士を介入するなどして解決を試みるのも一つの手段です。場合によっては家庭裁判所の調停も考えられます。
養育費に限らず、離婚に関する取り決めを行った際には、離婚協議の取り決めを誓約した公正証書を締結することを強くオススメいたします。養育費は子供の将来に関わる重大な取り決めです。そのような大事な問題を口約束だけで解決してはいけませんね。
失敗例3 養育費が滞ったが諦めた
【失敗談】
離婚後、最初の数ヶ月は養育費を支払ってもらっていたのですが、半年を過ぎた頃から入金が遅れるようになり、1年後には支払われなくなりました。連絡しても『金がない』とか『仕事を辞めた』などの理由で払う様子がなかったので諦めて私一人で育てています。納得がいきません。でも、泣き寝入りしたみたいで腹が立っています。
【対応策】
これも典型的な未払い症候群です。支払いを滞らせたり未払いになる人の多くが、単に面倒くさくなった、払うのがもったいない、そんな理由がほとんどです。それを、『金がない』とか『仕事を辞めた』などの理由で片付ける相手の神経を疑います。一人の人間を育てていくための費用です。それを今一度、認識させる必要があります。
そのためには協議を行います。養育費についてもう一度話し合い、取り決めるわけです。もし、離婚を成立させる際に養育費に関する公正証書を締結しているのであれば強制執行や催促して相手の反応を確かめるのも一つの手段です。
話し合いにも応じない、公正証書も無いとなれば家庭裁判所の調停で解決しなければなりません。手間に感じるかもしれませんが養育費を支払ってもらいたいのであれば仕方のないことです。『本当に支払い能力が無いのか?』『いつになれば支払いを再開できるのか』など養育費の未払いや滞りに対する事実関係をはっきりさせるためです。
失敗例4 夫の借金が原因、無条件で離婚したけれど離婚後の財産分与は可能?
【失敗談】
夫の過剰な浪費癖、生活費を払わない、それに加えてギャンブルで作った消費者金融の借金が原因で離婚しました。夫には財産がなく借金だけが残っていたので無条件で離婚しました。ところが、離婚後に過払い請求をしたらしく消費者金融から返金されたお金が200万円。たまたま共通の友人から聞いて元旦那の過払い請求を知ったのですが、離婚してからでも財産分与は可能でしょうか?
【解決策】
可能です。ただし、財産分与の請求が行えるのは離婚後2年までです。それ以降であれば手の施しようがありません。残念ながら諦めるしかありません。しかし、慰謝料の請求権は離婚後3年までです。2年は過ぎていても3年未満であれば慰謝料として財産の一部を請求することが可能となります。そのためには離婚原因が慰謝料請求に該当していることが前提となります。
もし、離婚前に、将来において過払い金が返ってくることを知っていたなら事前に取り決めておくことは可能でした。特に消費者金融の利用期間が10年以上の場合など、過払い金の返金確率は高くなります。財産を分与する際は様々な要因を考慮したうえで判断しなければなりません。財産分与には専門知識や経験が必要となるため、弁護士に相談するなどして適正な財産分与を試みることが得策と言えるでしょう。
失敗例5 とにかく別れたかったので離婚届と協議書にサインした
【失敗談】
夫の暴力から逃げたくて子供を連れて実家に帰りました。後日、実家に夫と夫側の弁護士がやってきて離婚届と離婚協議書にサインして欲しいとのこと。そうすれば一切関わらないと約束してもらったのでどちらもサインしました。後日、養育費について連絡したところ『公正証書に一切請求しないって書いてあっただろ?』との返答。慌てて離婚協議書を確認すると確かに書いてありました。無念でなりません。
【対応策】
今回の失敗談の中で最もNGな行動です。公正証書付きの離婚協議書に署名捺印したのであれば契約が成立し、記述してある内容を承諾したことになります。残念ながら養育費はおろか、慰謝料や財産分与を請求することも不可能となります。
とにかく、どんな理由があろうとも離婚する際は慎重に行動しなければ後悔の種となってしまいます。相手の暴力が怖い、話にならない、などの理由で離婚成立を急ぐ気持ちは分かりますが、自分で立ち会えないのであれば弁護士に相談するなどして話し合わなければなりません。離婚の取り決めは重要な問題です。
離婚届の提出だけであれば離婚後であっても養育費、慰謝料、財産分与を請求することは可能です。しかし、公正証書付きの離婚協議書となれば話は別です。例え、その時は冷静な判断が出来なかったとしても、ひとまず落ち着いて誰かに相談していれば違う結果になっていたのかもしれません。
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