熟年離婚を有利に進める方法|準備や財産分与を徹底解説

「熟年離婚」という言葉が世の中に出てきたのはもうかなり前のことになります。

現在の日本国内では二組に一組のカップルが離婚するとも言われていますが、一昔前の世間では離婚は社会経験の少ない若年カップルや何らかの込み入った事情などがある夫婦など稀な印象があったものです。

それが次第にそれほど稀なことでもない風潮になると、今度は長年連れ添った老齢の夫婦が離婚するという事象も良く見られるようになり、これが「熟年離婚」「高齢離婚」と評されるようになったのです。

それこそ一昔前の年代の方にとっては「年を取ってから離婚するなんて恥ずかしい」などという意識があり選択肢にも上がらないのが普通であったものが、女性の権利拡大や様々な社会情勢の変化が相まって、「我慢しなくてもいい」という意識が女性の間で芽生えていったことも熟年離婚の増加に一役買っていそうです。

一方、個別ケースにもよりますが、男性の側は多くの場合受け身の存在で「離婚なんて認めない」「何が不満なんだ」などと離婚に反対することが一般的には多いと考えられます。

そこで今回は現在の熟年離婚の情勢を踏まえて、特に女性側の視点に立って上手に離婚を成功させるポイントについて解説していきます。

増えている熟年離婚

「熟年」の定義ははっきりとは定まっていませんが、概ね婚姻期間が20年以上の夫婦が離婚する際には「熟年離婚」と捉えられることが多いようです。

この熟年離婚が増加したのには冒頭で述べたように古い価値観が変わってきたことや年金分割など社会システムの変化などもその一因があると考えられます。

離婚の件数としては若年者のそれに対しては相対的に多くはないものの、熟年離婚の件数自体はやや増加傾向にあることが指摘されています。

熟年離婚をする理由は人によって様々です。

特に相手に不満はないけれども、残された人生を自分の為に使いたいとう人も多いです。

昔は女性が社会で仕事を持って活躍するということが一般的でなかった時代が確かに存在しました。

そのため特に年配の女性は男性優位社会の中で男性に対し従属的であった時代がありましたから、以下のような願望をひそかに抱える方も多いようです。

  • これ以上メシ・フロ・洗濯など家事要員として働きたくない
  • これまでちょっとしたことで暴言を吐かれたりすることがあったのでチャンスがあれば離婚したいと思っている
  • 配偶者の義両親とのトラブルから解放されたい
  • 浮気をされても我慢してきたがもう限界

などなど、お互いに建設的な人生設計を目指してする離婚もあれば、長年積もった不満や恨みから離婚を考えるケースもあります。

あなたはどちらのパターンでしょうか?

熟年離婚する際のチェックポイント

熟年離婚において「備えるべき事」と「覚悟しておくべき事」として挙げる事ができるのが、「離婚後の生活のための財源をいかに確保するか?」という事です。

夫婦ともに共働きの家庭ならば財源の確保に困らないでしょうが、そうでない場合は離婚後に備えて確保する方法を見つけておく必要があります。男女問わずに再就職される場合は高齢だと困難になるので覚悟する必要があります。

高齢離婚を考えるご夫婦では上で述べたように手に確かな職を持つ方はそう多くなく、離婚した後の収入源について不安に思われる方が非常に多いです。

そこでこの項では財産分与などお金がらみで有利に事を進めるための準備のポイントなどをご紹介します。

①離婚後の収入について考えてみる

これまで専業主婦だった方やパートくらいの職業経験しかない場合、ただでさえ高齢の方は若年者よりも求職の場面では不利になるでしょう。

離婚後に住む家賃や生活費についてどれくらいかかるか算定し、その目標額に達することができるか考えてみましょう。

自分では計算などが苦手という方はFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談すれば有料ですがライフプランニングとして手伝ってくれるはずです。

まずは安定した継続収入を確保するためにも、積極的に働きに出て自分の力で稼ぐという姿勢を確立することも大切です。

高齢の方は年金を目当てにしてしまいますが、専業主婦だった場合は基本的に夫の被扶養者としてかけられていた国民年金分しか権利がありません(年金分割については後述します)

国民年金は基礎年金ですから本当に微々たるもので、満額でも月額6万円程度です。

生活費だけでなく家賃なども考えれば到底足りません。

そこで自力で継続収入を確保するだけでなく、可能な限りの権利を行使して離婚相手から財産を貰うことも必要になります。

②年金分割制度を利用する

近年導入された熟年離婚の支援システムに年金分割制度があります。

まず大きな注意点として、「年金額」を分割するのではないということがあります。

年金の保険料の納付実績を分割するというイメージですが、さらに分割対象になる納付実績も色々な制限があります。

まず、分割対象になるのは厚生年金と共済年金の実績のみで、基礎年金は対象外です。

さらに対象は絞られ、婚姻期間中の実績のみが分割対象になりますから婚姻前の実績は対象外です。

また年金分割には「合意分割」と「3号分割」の二種類があります。

妻が専業主婦の場合には夫の了承が不要な3号分割が使えますが、こちらは2008年の4月以降の納付実績のみです。

それ以前の分は合意によって分割分を決める「合意分割」によるしかありません。

話し合いがこじれる場合は調停や審判などで解決を目指すことできますが、一般人にとってはなかなかハードルが高く感じられることでしょう。

実際のところ、かなり長く連れ添った夫婦でも年金分割によって増える年金額は2万円程度に収まることが多いので過度の期待は禁物です。

制度が複雑なため分かりにくいですが、必要に応じて社会保険労務士やFPなどに相談すると良いでしょう。

③退職金の一部をもらう

離婚時には婚姻中に築いた財産を寄与度に応じて分割する財産分割がなされますが、現存の財産だけでなく、退職金も分割対象に含めることが可能な場合があります。

すでに退職金が支給されている場合には単純に設定した分割割合で分割すれば良いですが、支給から長期間たっておりすでに消費したとみられるような場合は分割することができません。

まだ支給されていない場合ですが、将来の退職金を分割対象にできるかはひとえにその退職金を受領できる確定度合によります。

まず会社に退職金の支給規定がなければなりません。

加えて、そこで働く配偶者の勤務状態が不安定である場合には退職金の受領が難しくなる可能性が内包されています。

会社の運営や財務状況があまり良くない場合や支給がまだかなり先である場合も同様です。

こうした場合は退職金を分割対象にしない方が良いこともあります。

判断が難しい場合は離婚事案に詳しい弁護士や行政書士などに相談してみることをお勧めします。

④借金がある場合

 

上で述べたプラスの財産だけでなく、財産分与の対象には借金などマイナスの財産も含まれます。

相続事案と同じで基本的にはマイナスの財産も合意した分割割合に従って負担分を請け負いますから、離婚によって自分も一定の負債を負う可能性がある点は注意しましょう。

ただし、分与対象に上がる借金はあくまで婚姻期間中に、夫婦二人の生活の為にされたものだけです。

相手が婚姻前からしていた借金や、ギャンブルや浪費、自分の為だけの借金など夫婦生活とは関係ない借金はその者固有の負債であって、夫婦二人で負担するべきものではないので分与対象にはなりません(負担を負いません)。

このように分与対象の借金等マイナス分がプラスの財産から引かれて財産分与の計算がされますが、マイナスの方が大きくなる場合は財産が無いことになるので財産分与は受けられないことになります。

 

⑤親権について

熟年離婚に際しての親権については影響が出るケースはほとんどありません。

親権の問題が生じるのは20歳未満の子どもがいるケースだけだからです。

熟年離婚では年齢的に子どもは成人しているので親権の問題で揉めることはまずありません。

もし20歳未満の子がいる場合は話し合いで親権者を決めますが、揉める場合は調停などで調整し、最終的には裁判で決着をつけることになります。

熟年離婚の流れ

まずは離婚できるか否かの基本的なシステムの確認ですが、まずは話し合いによる協議離婚が前提となります。

これが不調の場合は調停や審判などで調整が可能ですが、なお相手が頑として離婚を拒む場合は民法上の法定離婚事由が必要になります。

現状で当該事由があれば良いですが、熟年離婚の場合そのような確定的な離婚原因が無いことの方が多いです。

そこで熟年離婚では話し合いによる協議離婚で離婚を成功させる必要があり、ケースによっては難易度が高くなります。

まずはお金の問題などを外部の専門家に相談し、明るい展望が出るようであれば相手に離婚を切り出します。

この時できるだけ冷静に、お互いにとってメリットとなることを強調します。

「私もあなたもいい年になりました。ここら辺で一旦別れて、お互い自由な人生を楽しみませんか?」という具合です。

相手は当初面喰って反対するかもしれませんが、時間をかけてこちらの意思が変わらないこと、愛情はもうとっくに冷めていること、愛情のない配偶者と一緒に居ても双方ともつまらない人生を浪費するだけだということを日々言動で示しましょう。

相手が暴力などをふるう場合は工夫が必要ですが、愛情が感じられない状態がいつまでも続いたら向こうもいいかげんスッキリしたくなるでしょう。

どうしても難しい場合は家庭裁判所の調停で第三者を入れて話し合いをすることもできますが、上で述べた通り、もし失敗すれば最終的には裁判で負ける可能性もあるので、情に訴えるなど工夫して協議離婚で成功させるのが熟年離婚の成功の秘訣です。

まとめ

熟年離婚では特に女性側の離婚後の生活についてお金の心配が尽きないと思われます。

「財産分与」も離婚後の財源の確保に役立てる事ができます。年金分割は金額面のメリットは思ったよりも少ないので、当面のまとまったお金として財産分与(退職金も含む)などで手当てをするのが望ましいでしょう。

また可能であれば働いて収入を得る道を確保しておくことが望まれます。

肝心の熟年離婚を成功に導く道のりですが、トラブルがあって法定離婚事由がある場合は別ですが、多くはそのような確たる事由はないものと思われます。

その場合最終的に裁判にもつれ込むと勝つことはできないので、硬軟織り交ぜて情に訴えるなど工夫を凝らし、話し合いで離婚できるようにするのが常道です。

しかし、数々の離婚慰謝料問題を解決して来た専門家であれば適切な手続きを用いて財産を分割することができます。若い夫婦の離婚と違い、歳を重ねてからの離婚はそれ相応の理由があっての選択だと言えます。

だからこそ旅立ちをより良くするために一度、当サイトで紹介している専門家にご相談することを強くオススメします。

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