離婚するために準備しておきたい6つのこと

離婚を決意したら、離婚届に判を押す前に、考えておくべきこと、準備しておくべきことがあります。

「すんなり離婚できるのか」「お金や子供の問題で揉めないか」「離婚することで損をしないか」など、周到に準備を進める必要があります。そのためには、離婚についての法律を知り、手続きや交渉について知ることが大切です。

この記事では、離婚する前に準備しておきたい6つのことについて解説していきます。

離婚手続きの6種類の方法

離婚の準備をする際には、まずその手続方法について知る必要があります。離婚には、「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「和解離婚」「認諾離婚」「裁判離婚(判決離婚)」と手続きの方法によって6種類があります。

なお、和解離婚と認諾離婚は、平成16年4月1日から新たに法律(新人事訴訟法)で定められた離婚の方法です。また、離婚裁判は、以前まで離婚裁判は地方裁判所で行われていましたが、平成16年4月1日は家庭裁判所で行われることになりました。

協議離婚

協議離婚は、妻と夫の協議(話し合い)によって離婚を決定するものです。民法763条「夫婦はその協議で離婚することができる」と定められている通り、各条件を含め、離婚までのすべての流れが話し合いで収まったときに協議離婚ということになります。

協議離婚は、一定の事由がある必要はなく、夫婦が合意すればいかなる理由であっても問題ありません。

調停離婚

調停離婚は、話し合いによる離婚が成立しなかった場合に、一方が申立人となり行われることになり、家庭裁判所での調停で成立する離婚のことです。

離婚調停では、男女各1名の調停委員が第三者的な立場でお互いの意見調整を行い、夫婦が合意に至れば裁判官(家事審判官)立会いのもと離婚が成立します。

審判離婚

審判離婚は、調停で合意に至らなかった場合に、裁判所が夫婦にとって離婚が相当であると認めることで、調停にかわる審判を下すことです。

ただし、夫婦の一方が不服申し立てを行えば審判は無効となりますので、審判離婚で離婚が成立した実例はほとんどありません。

裁判離婚

裁判離婚は、調停や審判でも離婚が成立しない場合、離婚したい側が家庭裁判所に離婚訴訟を提起する方法です。裁判離婚では、裁判所が原告と被告とを離婚するという判決が確定すれば、強制的に離婚が成立します。

このため、判決離婚とも呼ばれています。ただし、裁判で離婚が認められるには法律で定める5つの離婚事由に該当する必要があります。

認諾離婚

離婚訴訟の途中に、被告(離婚訴訟を起こされた側)が、原告の言い分を全面的に認めて離婚を承認する場合、請求の認諾をしたとして訴訟を終了し、離婚が成立します。

和解離婚

裁判の途中に離婚の合意に至った場合は、和解が成立した時点で和解離婚として離婚が成立します。

子どもに関しての取り決め

離婚をするにあたり子供がいる場合は、子供の人権を守ることが最も重要です。

離婚に際して決めておかなければならない事項は「親権者・監護権の決定(戸籍の移動)」「面会交流権」「養育費」「子共の戸籍と姓」があります。

親権者・監護権の決定

未成年の子がいる場合には、離婚後の親権者を夫婦のどちらにするかを決めなければ離婚はできません。子供の将来を含めどちらが親権者になるのかを真剣に考えて決めるようにしましょう。

面会交流権

分かれた親と子にはお互いに会う権利があります。面会交流について決めなくても離婚はできますが、離婚後に話し合うのは難しいのが実情です。

会う頻度や面接時間、場所などを具体的に離婚協議書などの文書で決めておきますが、相手に会うことが子供の福祉にとって害がある場合は面接の拒否や制限をすることができます。

【面会交流で取り決める内容】

  • 頻度と時間
  • 場所
  • 宿泊の有無
  • 子供の受け渡し方法
  • 学校行事や特別な日
  • 長期休暇の場合
  • 間接的な交流の方法(手紙や電話、メール等)
  • お小遣いやプレゼント

養育費

養育費は、子供を看護、教育するのに必要な費用となり、子供が持つ権利です。一般的に、親の扶養が必要な未成熟子が自立するまでに要する衣食住、教育費、医療費、娯楽費、交通費、最低限の文化費など、すべての費用が含まれます。

子供が成長するための養育費には、離婚前に生活費や学費、習い事や塾の費用などについて細かい取り決めをしておくことが可能です。

子供の戸籍と姓

片方の親が親権や監護権を持っているからといって、子の姓が自動的にその親の戸籍・姓に変わることはありません。例えば、母親が親権者となって子供を引き取った場合、母親は旧姓に戻りますが、たとえ新しい戸籍を作っても、子供は父親を筆頭者とする戸籍・姓のまま変わりません。

親権者であり監護権となる一方を筆頭者とする新しい戸籍を作り、家庭裁判所に、子どもの氏の変更許可を得る手続きをとり、変更許可を得たらその戸籍に入籍することになります。

離婚に伴うお金の問題

離婚に伴うお金の問題には「婚姻費用」「養育費」「財産分与」「慰謝料」「年金分与」があります。離婚前にこれらを取り決めておかなくても離婚はできますが、離婚後に話し合うには困難を伴います。

後悔しない離婚をするためには「お金のことは後回し」にせずに、離婚前にしっかりと取り決め手をしておく必要があります。

婚姻費用

婚姻費用とは、衣食住の費用、医療費、子供の教育費など、結婚生活をおくるうえでかかる費用のことです。民法760条では、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定められており、夫婦には婚姻費用を分担する義務があります。

妻が専業主婦で収入がない場合やパート勤務で夫より収入が少ない場合は、夫は妻に生活費を渡さなければいけません。例えば、離婚に伴う別居で夫が生活費を支払わなくなることもあります。同居・別居に関わらず、このような場合は夫に婚姻費用の請求ができます。

婚姻費用の金額や支払い方法については夫婦の経済状況に応じて協議で決めますが、解決できない場合は財産分与の請求に含めて清算するケースもあります。

養育費

離婚の際は、協議、調停、裁判など離婚の形式に関わらず、ほとんどの場合に取り決められます。養育費の支払いは親としての義務ですので、子供と一緒に生活しない親でも養育費を支払う必要があります。

ただし、養育費の支払いは長期間に及ぶので、不払いのトラブルも少なくありません。子どもが成人になる途中で不払いになるケースは6割以上とも言われます。

養育費の「期間」「金額」「支払い方法」を取り決めておき、養育費について話し合いがついたら必ずその内容を強制執行認諾約款付きの公正証書にしておきます。

財産分与

夫婦で協力して築き上げた財産は離婚時に分配することになります。婚姻中に得た収入やその収入によって夫婦の合意に元図いて購入した財産は夫婦共有の財産です。

不動産(土地・建物等)や車、預貯金、有価証券など所有名義が夫婦のどちらかになっていても、それを所有するにはもう一方の協力もあったと考慮されるものは共有財産とみなされます。原則として、共有財産は2分の1の割合で清算します。

財産分与は離婚届提出後も請求できますが、2年という請求期限がありますし、財産隠しや売却して現金を隠されてしまう可能性もありますので、離婚時にきっちりと請求しておく必要があります。

慰謝料

離婚の場合の慰謝料は、暴力行為や不貞行為、悪意の遺棄など、離婚原因である有責行為をした者に対する損害賠償請求です。

慰謝料の金額は、理由だけではなく相手の収入や婚姻期間なども考慮されますので、一概には言えませんが、不貞行為100万~500万円、悪意の放棄50万~300万円、精神的虐待・暴力50万~500万円が相場です。不倫などの場合は離婚原因を作った第三者(不倫相手)にも慰謝料を請求することができます。

慰謝料の請求期限は離婚成立から3年以内となりますが、期限が過ぎてしまうと、さらなる揉めごとに発展する可能性もありますので、離婚時に請求することが望ましいです。

年金分与制度

離婚による年金分与制度は、厚生年金や共済年金を対象にした制度で、離婚後に支払われる年金も夫婦の共有財産とみなし、既婚時期に応じて分担することになります。年金分与については合意分割制度と3号分割制度の2つがあります。

合意分割制度は、結婚していた期間に応じて、その期間の厚生年金の標準報酬を最大2分の1まで分割できる制度です。3号分割制度は、2008年(平成20年)以降から離婚するまでの間、第3者被保険者であった機関の夫(妻)の厚生年金の標準報酬の2分の1を当事者間で分割することができます。

離婚後の生活基盤を整えておく

離婚後、親元に戻れる方であれば不安は少ないと思いますが、そうでなければ新たな住居を探す必要があります。まして子供を引き取るとなると、この先多くのお金が必要になります。

離婚後の生活で深刻な問題が起こりうるのが、専業主婦やパートなど収入が安定していない女性です。年齢や資格にもよりますが、専業主婦の場合はあらためて仕事に就こうと思っても、容易ではないという覚悟が必要です。中には生活保護等を考えている方もいると思いますが、生活保護を受給するのはそれほど容易ではありません。

「清算的財産分与」によって住まいの確保や生活基盤を整えていくのが一般的ですが、離婚後の生活に自信がない方は「不要的財産分与」を利用するのも一つの手です。不要的財産分与では、離婚後も夫からしばらくの期間生活費をもらう話し合いができます。

法的に有利になる公正証書を作成しておく

調停離婚、審判離婚、和解離婚、裁判離婚の場合は、強制執行力のある調書や審判、判決文が残りますが、協議離婚の場合、相手が逃げる可能性を考えて、単なる約束書きの離婚協議書ではなく、法的な強制力のある強制執行認諾約款付きの公正証書を作成しておくことが大切です。

実際に、最初は支払う気があっても、離れて暮らすうちに責任感や切迫した気持ちが薄れてしまうことは珍しくありません。しっかりとした約束を取り付けることは必ず必要ですが、不払いになったときのことを考え、履行勧告や強制執行も視野に入れて相手の財産や経済状況を把握しておくことが大切です。

離婚後の幸せを考えておく

自分が希望して分かれるわけですので、結果的に『離婚することは幸せ』ということになります。ただし、離婚した先は不幸になってしまえば、たとえ離婚して嫌なことから解放されたとしても疲労感だけが残ってしまいます。

思うようになるはずないと弱気になってしまう方もおられると思いますが、もらえるものはもらう、それが、よりよい離婚のセオリーです。

そのためには、離婚前から離婚後の幸せの設計図を描き、やり遂げる決意が大切です。離婚して幸せになるのかは自分次第です。そして、その先の人生を幸せにできるのも自分次第です。

自分でできないことは弁護士の手を借りる

離婚は基本的に相手が同意して成立するものです。特にお金や子供の問題などが絡むと、相手も弁護士を立てるなどして、不利な解決を強いられることがよくあります。そのため離婚の準備は用意周到におこなうべきです。

離婚を適切かつ有利に解決したいなら、専門家の手を借りることをお薦めします。離婚問題を総合的にサポートできるのは弁護士だけです。弁護士なら、離婚の各種アドバイス、相手方との交渉、調停、裁判の代理など、あらゆる面で依頼者を助けてくれます。

離婚の準備をして不安に思うことがあれば、まずは弁護士に相談してみましょう。

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