協議離婚と調停離婚の違いとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

さまざまな努力や話し合いにもかかわらず、いよいよ離婚が決定的となった時、どのような手続きの方法を選ぶべきなのでしょうか?

日本では、双方の話し合いによる協議離婚が認められているため、裁判所で行う調停離婚は、穏便ではない方法だと思われがち。しかし、第三者の立会いの元、公平かつ細部まで約束事が決められること、また、合意した内容は、判決と同様の効力を持つなど、調停離婚には大きなメリットもあります。

本格的な話し合いを始める前に、全体の約97%を占める協議離婚と調停離婚の違いやそれぞれのメリット・デメリットを把握して、良いタイミングで適切な方法を選べるようにしておきましょう。

離婚には全部で6種類、主に3つの方法がある

当事者の話し合い(合意)による協議離婚、家庭裁判所の離婚調停を利用した調停離婚、そして裁判による判決で決定される裁判離婚と、日本には主に3つの離婚の方法があります。

厳密には、上記の3種類に加えて、さらに、和解離婚、認諾離婚、審判離婚の3つがありますが、和解離婚と認諾離婚は、離婚裁判の途中で起きるアクションであり、また審判離婚は、調停で離婚には合意しているものの、一部の条件で折り合いがつかない等のケースで、家庭裁判所が審判を下す方法で、全体のわずか0.1%(2014年)と、まず滅多にないものと考えて差し支えないでしょう。

【離婚の種類別の割合】
総数 222107件 100%
協議離婚 194161件 87.4%
調停離婚 21855件 9.8%
審判離婚 298件 0.1%
和解離婚 3303件 1.5%
認諾離婚 18件 0%
判決離婚 2472件 1.1%

※厚生労働省 人口動態調査 2014年 離婚の種類別にみた年次別離婚件数及び百分率 より

【離婚の種類】
協議離婚 夫婦が話し合いに合意し、離婚届を提出することで成立するため、離婚の理由は問われない。もっとも一般的な方法
調停離婚 家庭裁判所の家事調停(夫婦関係調整調停)による話し合い。裁判とは違って、調停委員(原則男女1名ずつ)が双方の言い分を調整しながら合意を目指す
裁判離婚 調停が合意に達しなかった場合(不調)、離婚を求めて家庭裁判所に裁判を申し立てることができる。法的な離婚の理由が必要
和解離婚 離婚裁判の途中で、裁判所の和解提案を受けて離婚の合意が整った場合に成立。和解調書が作成され離婚が確定する
認諾離婚 和解離婚と同様に、離婚裁判の途中で被告(裁判を起こされた側)が原告(裁判を起こした側)の訴えを全面的に受け入れる場合。ただし、認諾が可能なのは、原告の請求に親権や養育費、財産分与など、離婚以外の要素が含まれていない場合に限られる
審判離婚 離婚調停が不成立となった後に、家庭裁判所が離婚の判断(審判)をする。限定的なケースであり、異議の申し立てによって無効となる

※和解離婚と認諾離婚は2004年4月より施行

それでは、主な方法である協議離婚と調停離婚、裁判離婚について簡単におさらいしておきましょう。

協議離婚

夫婦の合意のみに基づく離婚で、市区町村の役所に離婚届を提出、受理されることで離婚が成立します。未成年の子がいる場合は親権者を決め、離婚届に記入する必要がありますが、これ以外の離婚の理由や慰謝料、財産分与などについて、役所に問われることはありません。

調停離婚

話し合いがまとまらず、協議離婚が難しい場合などに、家庭裁判所の家事調停(夫婦関係調整調停)を利用して、諸条件を含む離婚の合意を目指す離婚の方法。離婚調停では、男女1名ずつの調停委員が、双方の言い分を整理・調整しながら、離婚、財産分与、年金分割、慰謝料、親権、監護権、面会交渉、養育費等についての話し合いを取りまとめていきます。合意に達すれば離婚が成立します。

裁判離婚

夫婦関係調整調停が不調に終わった場合、家庭裁判所に離婚裁判を申し立てることができます。裁判で離婚を求める場合、①不貞行為 ②悪意の遺棄 ③3年以上の生死不明 ④回復の見込みのない精神病 ⑤婚姻を継続しがたい重大な事由という民法に定められた5つの離婚理由(法定離婚原因)のいずれかに当てはまる必要があります。

裁判では、判決によって必ず結論が出るものの、その内容は思い通りではないこともあり、また、ごく稀にですが、離婚が認められないこともあります。家庭裁判所(一審)の判決に不服がある場合は、高等裁判所(二審)に控訴することができます。

以上の3種類の方法のうち、裁判離婚は、原則として離婚調停が不成立であった場合に認められるもの(調停前置主義)ですので、離婚を探る流れとしては

①協議離婚 → ②調停離婚 → ③裁判離婚

の順に、相手との交渉を続けることになります。

協議離婚のメリット・デメリット

日本の離婚数全体のほぼ90%を占めると言われてきた協議離婚ですが、2014年の調査では87.4%(全国平均)と、最近では少しずつその割合が低下してきており、長期的には調停離婚や裁判離婚が増加する傾向にあります。

未成年の子がいる場合は、親権者を決める必要があるものの、裁判所等の公的機関が関与せず、当事者の合意のみで離婚が成立する協議離婚の制度は、世界的に見ればたいへん珍しい仕組みだと言えます。

協議離婚は、将来を見据えた話し合いが可能なカップルにとっては、手間も費用もかからず、たいへん便利である反面、財産分与や養育費などの詳細の後回しが可能なため、離婚後の争いの元になりやすいといった問題や、極端なケースでは、夫婦のどちらか一方が勝手に離婚届を提出、受理されてしまう等の問題もあります。

もちろん、合意のない届け出は、法的には無効なのですが、一旦、離婚届が受理されてしまうと、これを覆すためには、家庭裁判所に「協議離婚無効確認」の調停を起こさなければならず、たいへん厄介な問題を抱えることになってしまいます。これを防ぐためには、事前に「離婚届不受理申出書」を市区町村の役所に提出しておくようにしましょう。

協議離婚のデメリット
  • 協議離婚では、離婚届に簡単な事項を書き込むだけで離婚できるため、財産分与や慰謝料、養育費、子供との面会交流などの詳細がおろそかになりやすい
  • 協議離婚の仕組みを悪用して、勝手に離婚届が出され、受理されてしまうことがある

協議離婚の際に注意したいこととは

夫婦間での本格的な離婚の話し合いに入る前に、少しでも不安があるようならば、まずは「離婚届不受理申出書」を提出しておくとよいでしょう。これで「まさか」の事態がひとつ防げるようになります。

さらに夫婦間の合意事項は、金額や日時、支払い期限といった詳細を離婚協議書に取りまとめておくことが重要です。この離婚協議書をもとに公正証書を作成し、強制執行認諾約款(約束が破られた場合に強制執行が可能となる条項)を加えることもできますし、また、公正証書が作成できなかった場合でも、調停や裁判では、この離婚協議書をひとつの証拠として見ることができます。

協議離婚は「話し合いがすべて」となる離婚の仕組みです。冷静な話し合いが最初から無理だと思える場合や、ふたりだけでは具体的な話し合いが難しいといった場合には、事態がこじれてしまう前に弁護士に依頼するか、家庭裁判所の離婚調停を利用するとよいでしょう。

離婚調停(夫婦関係調整調停)のメリット・デメリット

家庭裁判所で行う夫婦関係調整調停には、諸条件を含めた離婚の合意を目指す離婚と、夫婦関係の修復を目指す円満の2種類があります。一般的に離婚調停と言っているのは、この離婚の方なのですが、話し合いであるために途中で気が変わることもままあり、必ずしも離婚という結果に行き着くわけではありません。

調停は、家事審判官(裁判官)の監督下、原則として男女ひとりずつの調停委員が双方の言い分を交互に聞きながら、話を整理し、双方の合意が可能なラインを探っていきます。

およそ月1回の話し合いを重ねて、全体の70%強が6ヶ月以内に調停を終えており、また、年間では約55%が調停離婚や婚姻を継続しながらの別居等、なんらかの結論を得て、調停成立にこぎつけています(「平成27年度司法統計年報」より)。

家庭裁判所で行う離婚調停は、裁判とは違い、調停委員という第三者を介在させた話し合いの場ですから、難しく考える必要はありませんが、一旦、両者の合意が成立し調停調書が作られると、その効力は裁判の判決と同等であるため、変更や訂正はできません。

調停の成立前に調停調書の内容を確認する段階が必ずありますので、些細なことであっても、納得のできない事柄や合意内容の間違い等は、きちんと申し出て確認・修正してもらうようにしましょう。

離婚調停に弁護士は必要?

「どうも調停委員と相性が悪い」「つい感情的な発言をしてしまう」「相手方が弁護士に依頼した」など、状況次第では早めに弁護士に依頼した方がよいケースも多く存在します。

「裁判とは違う離婚調停」ではあっても、やはり裁判所を納得させるだけの証拠や離婚に思い至った根拠などをきちんと説明できなくてはなりません。こうした準備を専門家の手を借りずにできる状況かどうか、また、うまく調停委員に伝えることができるかどうかは、一度よく考えてみるべきでしょう。

調停離婚のデメリット
  • 離婚調停のため定められた期日に裁判所に赴く必要があることや、一般的には成立まで3ヶ月〜半年ほどの時間がかかる
  • 必ず自分の望む結果が得られるわけではなく、離婚調停が不成立になることもある

調停離婚を上手に利用しよう

合意さえできれば裁判での判決と同等の効力を持つ調停離婚は、離婚のみならず、財産分与や慰謝料、養育費、子との面会交流の方法や頻度などをしっかりと決めることができ、また、時間をかけて問題を整理していくプロセスのおかげで、感情的な問題が削ぎ落とされる等のメリットもあります。

何より公的な仕組みですから、費用も数千円程度とごく低く抑えられており、夫婦間の話し合い(協議)だけでは合意できなかった場合には、躊躇せずに利用してみるべきでしょう。

最近では、離婚全体のおよそ10%程度が調停離婚を経験しており、少なくない数字となってきています。協議離婚にこだわりすぎず、適切なタイミングを見計らって、調停離婚を検討することも必要でしょう。

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