
色々な理由で、今すぐにでも離婚したい!という方は世の中に多くいらっしゃると思いますが、その理由次第では離婚ができないこともあることをご存知でしょうか?
結婚は本人同士が合意すれば簡単にできますが、離婚はあなたが思うほど簡単にはできないこともあります。
離婚するためには法律で決められた明確な理由が求められることもあるからです。
あなたが結婚した時を思い出してみてください。二人は仲良く結婚に向けて色々と準備をし、二人が同じ方向に向かって進んでいたはずです。
しかし離婚というものは二人の方向性が同じではなくなったために取られる手段ですから、仲良く共同作業というのは難しい側面があるのは仕方のないことでしょう。
離婚は結婚の何十倍もの労力がかかる、などと言われるのはこのためです。
離婚で少しでも苦労したくないと思う人は「離婚するための理由」を意識しておくことが大切です。
あなたの離婚を成功させるために、当ページを最後までじっくりとお読みください。
そもそも離婚するのに理由はいるの?
結婚は二人が婚姻届を提出すればそれで済みました。
二人が気持ちを同じくしているので合意された意思として婚姻届を提出することができたからです。
離婚の場合も、もし二人が離婚することに同意していて、財産分与や慰謝料、どちらが子どもの親権者になるかなど清算条件もすべて話がまとまっている場合は離婚届を書いて提出すれば、手続き上はすぐに離婚できます。
このように二人が色々話し合って、納得の上でする離婚を「協議離婚」といいますが、この方法であれば離婚の為に特段の理由は必要ありません。
あくまで当事者同士が納得すれば特別な理由は問われないのです。
しかし離婚の危機にある夫婦というのは得てしてお互いに感情的になっていたり、冷静な話し合いができない状態にあることも多く、夫婦の一方は離婚したいが他方は離婚の意思が無い、あるいは相手を困らせるために離婚に同意しないということもしばしばです。
そのような場合は、協議が成立しないので家庭裁判所に離婚調停を申立てることになります。
そして、調停でも互いに合意が得られない場合は、最終的には解決を裁判に任せることになり、これを「裁判離婚」といいます。
この裁判離婚では夫婦間のトラブルを強制的に解決する一種の強制力がありますから、軽い理由で離婚を認めてしまったのでは「離婚をしたくない」という他方の配偶者が可愛そうです。
そのため裁判離婚では、民法という法律で定めている理由(法定離婚事由)が無ければ離婚することができないことになっているのです。
難しいのは、法律に記載のある理由は少し抽象的で、世の中の具体的な事情に照らして合致するのかという判断が微妙なことがあるということです。
次の項からはその法定離婚事由について詳しく解説していきます。
裁判離婚で離婚が認められる5つの理由とは?
裁判離婚では以下1~5のような理由がなければなりません。
- 法定離婚原因
-
- 不貞行為
- 悪意の遺棄(相互扶助義務違反、生活費を入れない等)
- 3年以上音信不通
- 回復の見込みのない強度の精神疾患
- 婚姻を継続し難い重大な事由が認められる
夫婦の意見が合わず、やむを得ず裁判に解決を委ねる事態に備えて、説明の為、また証拠収集の為にも自分のケースではどれに当てはまるのか考えてみましょう。
1. 配偶者に不貞行為があったとき
離婚が認められる理由の一つに不貞行為があります。
不貞行為とはつまりは浮気、不倫をするということです。
どこからが浮気、不倫となるのかというのは一般社会でも時々話題になりますが、離婚事案でいう所の不貞行為とはズバリ、肉体関係があるかどうかという点につきます。
肉体関係がない場合は不貞行為とはみなされないので、これを理由とした離婚は認められないことになります。
ではどのようなものが不貞行為となるのかというと、次のようなものがあります。
- 配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと
- 性風俗店に頻繁に出入りすること
- 売春や買春など
オーラルセックスは判断が分かれることもありますが、事情を総合的に考えて性交渉に類似する行為として不貞行為と認定されることが多くなっています。
一方で、キスや食事に一緒に行く、抱きしめるなどの行為は不貞行為とはなりません。
また同性間の性行為も現在のところ不貞行為にはあたらないとされています。
キスなどの行為は法定離婚事由のうち不貞行為を理由とすることはできませんが、これらの行為が原因となって夫婦関係が極度に悪化し、後述する「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認められればそれが離婚事由となります。
また上記の不貞行為とみなされる行為も、実際の裁判では一回だけの行為では離婚は認めてくれないのが現状です。
一度や二度の過ちで強制的に夫婦の中を分かつのは時期尚早ということで、複数回繰り返される不貞行為にのみ離婚を認めるというのが現在の裁判所の意向となっています。
2. 配偶者が結婚の義務を怠ったとき(悪意の遺棄)
結婚は男女がお互いに助け合い人生を歩んでいくことです。
夫として、妻として、夫婦関係にある者が当然に負う配偶者としての務め=義務を怠る場合には、これが一つの離婚事由となります。
このような義務を怠る行為を少し難しい言葉で「悪意の遺棄」といいます。
具体的には、民法で夫婦の義務として定めている同居の義務、協力の義務、扶助の義務に反した時が悪意の遺棄となります。
例えば、
- 正当な理由もなく同居を拒否する
- 専業主婦(主夫)が正当な理由もなく家事を怠る
- 健康で働けるのに働かない
- 収入をギャンブルなどで浪費し家に入れない
などの行為が悪意の遺棄にあたります。
一方で出張や単身赴任などの仕事上の都合、配偶者からの暴力から逃れるため、夫婦関係の不仲を改善するために一時的に顔を合わせない期間を作るなどの事情で別居する場合や、病気の為に満足な家事ができない、同じく働けないなどの場合は悪意の遺棄にはあたりません。
またすでに夫婦関係が極度に悪化し婚姻関係が破たんしていて修復の見込みがない場合の別居も悪意の遺棄とはみなされません。
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
失踪・蒸発した配偶者の生存も死亡も確認できない状態が3年以上続いたときには、もはや夫婦関係を続けることはできないとして離婚を認める事由となります。
裁判では失踪した配偶者が最後に音信を残した日から起算して3年以上たったことを証明する必要があるので、配偶者が失踪した場合はすぐに警察に対して届出をしておくのが有効です。
音信がなくても生存が確認された場合は生死不明ではないのでこの事由にはあたりません。
しかし生活費を送ってこないなどの事情によって別の離婚事由(悪意の遺棄など)に該当すれば3年を待たずしても離婚が可能になります。
4. 配偶者が重い精神病にかかり回復の見込みがないとき
配偶者が躁鬱病、偏執病、早期性痴ほう症、まひ性痴ほう症、初老期精神病などの精神病でかなり強度のものにかかり、回復の見込みがない場合にこの事由にあたりますが、実際に離婚が認められるためにはいくつかの条件が必要になります。
専門の医師による診断はもちろん、それまで夫婦として誠心誠意尽くして看病してきたか、離婚後、病気を患う配偶者の生活費は確保できるのか、このまま婚姻生活を続けていくことができないほどに夫婦の関係が冷め、夫婦としての援助が期待できない状況なのかなどを裁判官が総合的に判断し、「離婚を認めるのが相当」と判断してもらうことが必要です。
5. その他婚姻を継続しがたい重大な理由があるとき
世の中の夫婦の事情は千差万別であり、離婚を認めるべき具体的な例を全て上げていたのでは法律として機能しません。
そこで様々な事情に包括的に対処できるようにこの法定事由が設定されました。
個別具体的なケースを見て相当の理由があり、これがためもはや夫婦関係の修復を期待することができず、離婚させるのが妥当だと裁判官が判断すれば離婚が可能になります。
これまで過去の判例でどういった事情がこの理由に該当したか例を挙げてみると、
- 性格の不一致
- 性的不能、性の不一致
- 暴力や虐待
- 長期の別居
- 宗教活動
- 配偶者の親族との不和
- 浪費・金銭問題
などがあります。
これらのような問題を抱え、なおかつ夫婦関係の修復が見込めないと判断された時に離婚が可能となります。
離婚の原因を作った側から離婚することはできるのか?
不倫などをして離婚の原因を作った側の配偶者を「有責配偶者」といいます。
有責配偶者は原則として裁判で自ら離婚を求めることはできません。
しかし過去の判例では一定の条件を満たす場合は例外として有責配偶者からの離婚請求を認めています。
- 夫婦間に未成熟の子どもがいない
- 別居が長期にわたっており、もはや夫婦関係が破たんしていると認められること
- 離婚後他方配偶者が経済的・社会的・精神的に過酷な状態に置かれることがないこと
上記は最低条件となり、条件を満たしているからといって必ず離婚が認められるものではありません。
日本で初めて、有責配偶者からの離婚請求が認められる判決が下された際は、別居期間が36年となっていたことが判断材料になりました。
別居期間が重要な要素になることは間違いありませんが、これらのことを含めて総合的に判断されます。
また、協議離婚の場合は上記のような理由は必要なく、双方が合意すれば離婚可能です。
まとめ
今回は裁判離婚の際に求められる理由(法定離婚事由)についてみてきましたが、あなたはどの理由が最も近かったでしょうか?
裁判では上記の理由があることを証明するために証拠が求められるので、対象となる理由を明確にした上で、その証拠集めをしておくことが肝要です。
例えば不貞行為を示唆するホテルの領収書などの他、悪意の遺棄をされて生活が困窮している様を記した日誌なども証拠として有効です。
できれば離婚に精通した弁護士などの助力を得て、より効果的な証拠を収集し、有利に離婚を進められるように準備しておくことが望まれます。
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