親権を父親が取得しずらい理由って?父親が親権を取得するには

離婚時、親権争いにおいて家庭裁判所の判例上多くが「母親」の方に親権を認めています。

これは、裁判所が未成年の子において「母性」を必要とするという立場をとっているためです。それでは、父親は絶対に親権を取得できないのでしょうか?

そんなことはありません。現在の判例をみながら、父親が親権を取得できる条件等を見ていくことにいたしましょう。

親権争いがある場合、親権を得られるかどうかの判断は裁判所で行われる

離婚時に親権について争いがある場合や、親権変更調停などで、親権が父母のどちらにあるべきかを最終的に決定するのは家庭裁判所が行います。

裁判所が重要視する点は、「子の利益になる環境をどちらが備えているか」です。

ここでの利益とは、単に経済状況の安定のことだけを指すのではありません。

子が豊かに、安心して暮らせる生活環境や、親の他に監護してくれる信頼できる大人がいるかどうか、なにより子を愛情を持ってこの先育てていけるか、といった総合的な判断が行われるのです。

父親が親権を取得しづらい理由とは

父親が親権を取得しづらいという現状は、依然として続いているようですが、その理由は以下の2つが大きいようです。

  1. 父親は子育てよりも仕事が優先となるため、子どもとの時間が取りにくい
  2. 子が成長していくには母親の「母性」が必要

特に1の理由により子の生活環境を整えやすいのは、父親よりも母親と判断されるケースが多いようです。

父親でも親権が取れる!親権者の決定時に重視されることとは?

それでも、父親が親権を取れる場合もあります。親権を決定される際に、重要な点は何か、見ていくことにしましょう。重要なのは、「母親より父親の方が有利と思わせる」点があることです。

a.愛情深く子を育て、経済的安定があること

愛情深く子を育てたかどうか、これは「積極的に育児に参加していたかどうか」が問われます。例えば、子に離乳食を与えたり、お風呂に入れたりといった生活面での育児に加え、仕事の合間に積極的に子と触れ合う時間を持ったかなどの、客観的な事実が大切になってきます。

また、経済的な安定により、子が生活していくうえで安心して成長できるという点も、大切なポイントでしょう。

b.祖父母などの信頼できる監護者がそばにいるか、同居ができるか

子が小さければ小さいほど、「母親」を必要とします。そのため、その母親に代わる監護者がそばにいるかどうかも、父親が親権を取得できる重要なポイントです。子の面倒を見てくれる祖父母や親族が同居している場合は、親権取得に有利にはたらくでしょう。

家庭の状況を良くわかっている信頼できる大人がいるという客観的な事実がある場合、アピールポイントとなるはずです。

c.すでに母親が別居している場合や母親の心身状態に問題がある場合

親権は、「子と共同生活をしている親」が、より、親権者になるべきとの判断を多くしています。そのため、母親のみが家を出ており、すでに父親と子の生活になっていれば、親権がスムーズに認められるでしょう。

逆に、子が母親と生活し、父親とは離れて暮らしてしまっているような場合、親権の取得は難しいと言わざるを得ません。

また、母親が子育てに関して消極的な場合や、健康上で問題があるような場合は、子を育てるのが難しいと判断され、父親が親権取得しやすくなるでしょう。

d.転居や転校など、生活環境が変化しないこと

子にとって、転校や転居など、生活環境が著しく変わることは好ましくないとされています。

これは「現況維持の原則」と呼ばれ、親権者や監護者を決定される際のひとつの基準となっています。

これまで、子が成長してきた生活環境と、父親が親権を取得した際の生活環境が変化しないようであれば、「現状維持の原則」に照らし、父親が親権を取得できる有利なポイントとなるでしょう。

社会問題になっている子の連れ去り

ここで、社会問題ともなっているのが「親権を取得したいという理由での子の連れ去り」です。

「連れ去り」とは、親のどちらかが親権取得のために、他の親に黙って子を連れ去り、生活を共にしてしまうことです。

家庭裁判所は「連れ去り」による、「現状維持の原則」を認めてはいません。つまり、母親が子を勝手に連れ去り、子と共同生活をしていたとしても、この「連れ去り行為」を不当とし、親権者とみなさないという判断をしています。

このように「連れ去り」が起きてしまった場合には、ただちに子の「引き渡し調停または審判の申し立て」を行い、また親権者でない親が親権者に対して、この申し立てを行う場合には、同時に親権者変更の申し立てを行う必要があります。このことも、頭に入れておいたほうがいいでしょう。

特段、母親に親権を喪失するだけの特別な理由がない限り、裁判所は母親に親権を認める傾向があることに変わりはありません。父親が親権を取得するのは難しい、ということも覚えておくことが必要でしょう。

フレンドリーペアレントルールと面会交流権

親権者を決定するうえで、画期的ともいうべき判断が、千葉家裁平成28年3月29日判決で出ました。

結論から言ってしまうと、「相手の親に優しい親が親権を取得する」ということ。

つまり、相手の親に「寛容性」がある親が親権を取得する、という要旨です。しかしこれは、画期的な判決、というだけで現状の判断がこのルールに則って行われる、ということではありません。ただし今後、「子の利益を最大限に考え、父母の交流が盛んに図られる」ということは親権取得のうえでも、重要な要素となることでしょう。

親権が得られなくても、面会交流権を活用しよう

残念ながら親権が得られなかった場合、親権者でない親には子と会うことのできる権利「面会交流権」を活用するようにしましょう。

面会交流は、直接子と会って交流を図るだけではなく、メールや、電話、またプレゼントを贈るなどの交流も含まれます。

基本的に、面会交流については離婚時、父母で協議をし、取り決めをするもの。仮に父母の間で交流について意見がまとまらない場合は、調停へ、それでも取り決めが決まらない場合は家庭裁判所の審判で決着することになります。

子の成長を見られる「面会交流権」。親権が得られなかった場合、「面会交流権」の充実を協議する方向へ切り替えるのもひとつの方法です。

子と会うさまざまな方法があることを知っておく

これまで、父親が親権を取得しづらい理由、また親権を取得できるいくつかの場合、親権が得られなかった場合、面会交流を活用すべしとみてきました。

子の成長を見守ることは、親にとってかけがえのないもの。しかし、父親が親権を得たいと思っていても、現状なかなかそうではありません。

その場合、面会交流などの方法を使いながら、子にとって最適な成育環境を整えてあげるという観点を持つことも大切だといえるでしょう。

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