離婚後に子どもを前夫に会わせるときの注意点

離婚後 夫 子ども会わせる 注意点
離婚によって、夫と妻という関係性は消滅します。、それにより自身の身辺は多少なりともすっきりとするかもしれません。しかし、子どもにとっては、前夫が父親であることは変わることのない事実です。

子どもの人生から父親の姿が消えることは、果たして良いことでしょうか?子どもが父親との交流を続けていくなら、どのような準備をしておくべきでしょうか?
 
子どものより良い人生のため、子どもと自分の未来のための、道筋の見つけ方を考えてみましょう。

子どもを前夫に会わせたくない理由をよく考えましょう

離婚のケースは様々ですが、よほどの円満離婚でない限り、「前夫には子どもを積極的に会わせたくない」と思われる方が大半ではないでしょうか。
 
しかし、ちょっと待ってください。子どもをその父親に会わせたくないという本当の理由は何でしょうか?

相手への嫌悪のように、自分自身の感情的な問題でしょうか? あるいは、子どもが父親に傷付けられる恐れがあるなど、実害を被るリスクを考えてのことでしょうか?

子どもの心への影響や心配事は、もしかすると「子どもを父親に取られるかもしれない…」という自分の持つ不安感から生まれている可能性があります。

まずは自分自身の気持ちを整理してみましょう。

子どもの気持ちを確かめること

自分の感情以外、会うべきではないという理由が見当たらない場合、改めて子どもの希望について考えてみましょう。

まずは自分の感情は一旦横において、子どもと前夫を合わせたほうが良いか冷静に考えましょう。そして、会うべきではないという理由が見当たらなければ、子どもに希望を聞くことです。あくまで子どもの自主性を尊重してあげることです。

もしも、子どもが父親から危害を加えられた過去がないのであれば、大抵の子どもは父親とのコミュニケーションは拒まないでしょう。

中には、母親の気持ちに対して、子どもなりの気遣いをして、父親に会いたいという本音は明かさないかもしれません。

そんなときも、子どもの本音にしっかり向き合ってあげる、子どもの意見を頭ごなしに否定しないことです。せず、もちろん前夫の悪い面など吹聴して先入観を植え付けてはいけません。

子どもが父親に会うメリットとは

 離婚後に子どもが父親に会うということは、子どもにとってどのようなメリットがあるでしょうか。
 
子どもにとっては、たとえ父親と離れて生活していても、その存在が消えてなくなるわけではありません。いつでも会うことができる、父親が存在するということだけで、子どもの気持ちや精神面の支えにはなるはずです。
 
子どもが幼いうちに離婚した場合でも、周囲の友人の家庭環境と同じように、自分には「父親」がいるというだけで、引け目を感じることも少なくなるでしょう。

特に男児の場合には、同性の父親とは、母親とまた違った関係を築くことができ、頼れる相談相手であり、良い目標にもなり得るでしょう。
 
父親と会うことにより、子どもの情緒安定の助けにもなります。また、父親自身にとっても子どもとのつながりを意識することで、父親としての意識が高まります。子どもの養育費の支払いが滞りにくい状態になるため、それは母親と子どもにとってもメリットです。

子どもが父親に会うデメリットとは

それでは、子どもが離婚後の父親に会ってマイナスに影響するのはどのようなときでしょうか?
 
離婚の理由が、「父親の暴力」「アルコール依存症」「精神疾患」「事件を犯した」などの場合は、子どもに危害やメンタル面への悪影響が及ぶ恐れがあります。

父親に会うことで子どもがストレスを受ける可能性があるなら、安易に会わせることは避けなければなりません。

もちろん、子ども自身が「父親に会いたくない…」と感じている場合に、無理に再会させればマイナスの影響になってしまうでしょう。
 
そのような子どもが望まないコミュニケーションは母親自身にとっても精神的負担が大きくなります。母子ともに、生活全般が不安定にならないように面会は慎重に検討する必要があります

必ず面会交流の約束事をつくること

前夫が子どもと会ったり、手紙や写真、プレゼントの受け渡しをすることは、「面会交流権」という一つの権利です。これは、親の権利であるのと同時に子どもの権利でもあり、親子が互いに会って交流を深める必要性を法律も認めています。

しかしながら、子どもの感情や親の環境などは変化していく可能性が大いにあります。先々、トラブルの元にならないように、前夫と子どもが面会する条件は明確に定めておく必要があります。
 
あらかじめ当事者同士が話し合う。あるいは弁護士を通して、面会方法・日時などについて、面会交流の約束事を決めておくというのも、トラブル回避の方法です。

前夫と面会交流で揉めているケースではこうした協議自体が難しい場合、家庭裁判所に調停申し立てをおこない、そこで解決を図るという方法もあります。

【参考】:面会交流を拒否されたときの対応と調停・審判の進め方

まとめ

離婚は、夫と妻の当人同士の事情で決まってしまいますが、間に挟まれた子どもへの影響は最小限にしたいものです。
 
前夫への嫌悪感だけで、やみくもに子どもを父親から遠ざけるべきではありませんが、明らかに子どもへの悪影響が考えられるならば、「会わせない!」という強い意思と行動も必要です。

自分と子どもの感情や状況を踏まえるとともに、弁護士など専門家の意見を聞くことも重要です。

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