あとで後悔しないための「離婚を上手に進めるための5つのステップ!」
離婚を上手にすすめる“賢い”やり方
役所に離婚届けさえ出せば離婚できるじゃん!
はい、確かに手続きとしては紙切れ一枚でOKかもしれませんが、肝心なポイントは早く済ませることではなく、「上手に離婚をすすめる」ことです。
離婚後の生活や親権、養育費の問題などを考えて、なるべく後悔しない離婚を成立させることが大切ですね。
そのためには、クリアしなければならないステップがいくつかあります。
今回は、「離婚を上手にすすめる賢いやり方」を5つのステップにまとめました。
離婚の際、または離婚後の生活に役立てば幸いです。
また、具体的な離婚の準備に入る前にあらかじめ手続き方法を把握しておきましょう。 離婚の手続き|協議/調停/審判/裁判離婚の流れや方法
STEP1 どんな方法で離婚する?
単に離婚と言っても、離婚を成立させる方法は一つではありません。
大きく分けて3つの方法があります。状況に応じた方法を選択することが大事です。
離婚協議(夫婦だけで話し合って離婚する)
- 夫婦が離婚に合意し、役所に離婚届を提出すれば離婚が成立する
- 養育費や慰謝料、親権などについても本人同士で話し合う
- 弁護士を代理人として話し合うこともできる
離婚調停(家庭裁判所で調停委員の立ち合いのもと話し合いで離婚する)
- 最寄りの家庭裁判所に離婚調停を申立てる
- 1回目の調停日を知らせる通知がお互いに届く
- 1~2ヵ月に1回のペースで裁判所に行き、調停委員が離婚の条件を調整する
- 養育費や慰謝料、親権など離婚の条件にお互いが合意すれば、離婚が成立する
裁判による離婚(調停で解決できない場合、裁判官に判断を任せる)
- 訴状を作成して家庭裁判所に提出する(離婚訴訟)
- 1回目の口頭弁論日を知らせる通知がお互いに届く
- 口頭弁論が数回に分けて行われる
- 裁判官が和解案を提示する
- お互いが和解案に合意すれば和解調書を作成し、離婚が成立する
- 和解が成立しなければ、あらためて裁判で争うことになる
STEP2 どのタイミングで相手に離婚を伝える?
離婚の理由は夫婦によって様々ですが、よくある傾向として、思い立ったらすぐに離婚を切り出してしまう方が多いようです。
感情的になるのは分かりますが、ここはひとまず落ち着いてタイミングを待ちましょう。
離婚を決意してから相手に離婚を申し出るタイミングは、「5~7ヶ月後」がベストと言えます。
約半年も我慢したくない、そう思う方もいるでしょうが、上手に離婚をすすめるためには必要な期間となります。その理由はSTEP3で。
STEP3 離婚する前に準備しておくことは?
離婚を決意してからの約半年間、5ヶ月~7ヶ月の間で準備しておくことは「離婚後の生活に備えた情報収集」です。
つまり、離婚後の生活をスムーズに始めるための作戦を立てる期間となります。
離婚協議で離婚を成立させる場合、ほとんどのケースが離婚後の取り決めやルールを口約束で交わしてしまいます。
慰謝料や養育費、子供との面会に関する約束ごとを口頭だけで終わらせてしまうのはトラブルのもとです。
「あーしておけばよかった」とか「もっと考えてから離婚すればよかった」など離婚後に後悔しないためにも、約半年間で離婚後の生活に備えた情報収集がポイントとなるのです。
準備1 親権争いに備えた準備
- 子どもが10歳未満:母親が親権者になるケースが多い
- 子どもが10~15歳:子どもの意志を尊重して親権者を決定
- 子どもが15~20歳:基本的に子どもの意志を尊重
- 子どもが複数:「親の都合で兄弟姉妹を引き離すのは問題」との考えが一般的で、家庭裁判所の判例を参考にすると、“どちらかが全員の親権者になるのが望ましい”との見解です。
- 子どもの苗字を変えたくない:離婚届けを提出した日から3ヵ月以内に「離婚に称していた氏を称する届」という書類を役所に提出すれば、婚姻時と同じ苗字を使うことが可能です。
準備2 養育費トラブルに備えた準備
「支払う期間」
- 基本的には、子どもが社会人として自立するまでの期間を表します。
「養育費を決める際に参考にする基準」
- 現状で子どもを育てるのに必要な費用
- 今後の成長過程で必要になる費用
- 今後の収入や経済的な事情
- 財産分与の金額
- 家庭裁判所の養育費算定表
【参考】養育費・婚姻費用算定表 東京家裁
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf
「支払い方法」
- 一括払い、または毎月の支払い
- 振り込み、または手渡し
「支払わなかったときの対処」
- 内容証明郵便を使って相手の支払いをうながす
- 家庭裁判所の支払請求調停
- 強制執行として調停調書や審判書による給料の差押え
「公正証書について理解しておく」(参考:離婚しても甲斐性がない元夫。離婚後に慰謝料や養育費をもらう方法を教えて!)
準備3 離婚後の生活に備えた準備
- 離婚後の住まい・・・引っ越し先の検討・リサーチ
- 離婚後の収入・・・ 就職の検討・リサーチ
- 子育ての援助、支援・・・ 一人親に対する支援制度の検討・リサーチ
STEP4 財産分与に備えた準備
法律で分類される財産は4つです。それぞれの特徴を理解して、離婚を話し合う際にスムーズな財産分与ができる体制を整えておきます。
◆精算的財産の分与
結婚生活で築いた財産です。将来、受け取る退職金も財産分与の対象となりますが、結婚する前の貯金、親から相続(贈与)された財産は対象外です。
◆扶養的財産の分与
離婚後、経済的に弱い立場になると予測される配偶者を優遇する仕組みです。ほかの財産分与だけでは生活していけない場合に請求する金銭的な援助が目的です。
◆慰謝料的財産の分与
つまり、一般的に言われる慰謝料です。ただし、財産分与だけで慰謝料としての価値がある場合には、慰謝料がふくまれているとされるのが一般的です。
◆婚姻生活の費用を精算
過去にさかのぼり婚姻費用を分担(精算)します。ほとんど結婚生活のなかで解決する問題ですが、明らかに一方の負担が多かったとされる場合、財産分与で相殺するケースあります。
STEP5 親権・養育費・財産分与・慰謝料の問題を整理
離婚するにあたり大前提となる課題が「親権・養育費・財産分与・慰謝料」です。
最後に、これらの問題を解決するための材料が揃っているかを見直さなければなりません。
また、離婚を成立させる前に「書類の準備」も整えておくとよいでしょう。
書類だなんて、そんな冷たい態度はとれない・・・、そう感じる方もいるでしょうが、もっと冷たい言い方をすれば離婚後は他人となってしまいます。
一人で子育てするとなれば色々な苦労が絶えないでしょう。そんなときに養育費の取り決めを守らない相手を許せるでしょうか。
そして、そのような状況で何も解決する術がないなんてことになれば嫌な思いをしてしまうのは本人です。
ですから、離婚を成立させる前には、「離婚後の生活を考えた準備」をしたほうが得策です。
離婚を決してから相手に申し出るまでの約半年間、離婚に必要な準備を何度も繰り返し確認するくらいが賢いと言えます。
離婚の賢いやり方 まとめ
今回は、「離婚を上手にすすめる賢いやり方」を5つのステップに分けてご紹介しましたが、もっと念入りに離婚をすすめることもできます。しかし、離婚には落とし穴が多いので頼りになる相談相手を見つけることも重要です。
そういったときは、感情的ではなく客観的な判断で物事を見極められる弁護士など専門家に相談するようおすすめします。
専門家であれば、「公正証書の作成」や「養育費や慰謝料、親権といった専門知識」、「離婚に関する落とし穴の防止」にも役立つので賢明な選択と言えますね。
離婚する際の形式を理解しておく
- 離婚協議(夫婦だけで話し合って離婚する)
- 離婚調停(家庭裁判所で調停委員の立ち合いのもと話し合いで離婚する)
- 裁判による離婚(調停で解決できない場合、裁判官に判断を任せる)
離婚を相手に伝えるタイミングは、離婚を決意してから5~7ヶ月後
離婚を伝えるまでの約半年間で、離婚後の生活をスムーズに送るための作戦を立てる
- 親権争いに備えた準備
- 養育費の問題に備えた準備
- 引っ越し先の検討・リサーチ
- 就職の検討・リサーチ
- 一人親に対する支援制度の検討・リサーチ
財産分与の特徴と、分与の仕組みを理解しておく
- 精算的財産の分与
- 扶養的財産の分与
- 慰謝料的財産の分与
- 婚姻生活の費用を精算
親権・養育費・財産分与・慰謝料の問題を整理して、何度も見直す
頼りになる相談役として弁護士など専門家の介入を検討しておく
取り決めやルールは口約束ではなく、公正証書として証拠に残すことが重要