夫が逮捕されたので離婚したい!夫に慰謝料請求はできるの?

逮捕された夫と離婚したい

「夫が逮捕された…」それにより、家庭生活は一変します。近所や親戚からの厳しい目線、子どもがイジメにあう、さらには経済的な問題がのしかかってきます。

逮捕された夫は今後どうなるのか?夫と離婚はできるのか?慰謝料の請求はできるのか?など、対応の仕方を順に見ていきましょう。

夫が逮捕されたらどうなるか?

逮捕された夫は、まずは警察署の留置場に入れられます。そこでは、警察の取調べを受けて48時間以内に釈放するか、検察に送検するかの判断がなされます。その後、24時間以内に釈放するか拘留請求するかの判断がが行われます。

裁判所が、勾留が必要であると認めた場合には、最大20日間の拘留となり、起訴するか否かが判断されます。起訴拘留については期限がありません。起訴が確定した場合は、刑事裁判での有罪を免れるのは難しくなります。不起訴であれば刑事罰や前科は付かず、夫は釈放されます。

逮捕された夫との面会ができるのは、拘留決定の翌日、つまり逮捕後最長で4日目からとなります。その面会も家族の場合は、さまざまな制約があり1回15分程度しか認められません。

それが弁護士に弁護活動を依頼すれば、弁護士は接見(面会)の制約がないので、いつでも面会することができます。そのため、夫が「勾留されている」服役している」というケースの離婚問題では、弁護士を介して手続きを進めるケースが多く見られます。

夫婦が合意すれば離婚できる

離婚は、夫婦双方の合意があれば成立します。したがって、逮捕された夫との離婚は、留置場内であっても、夫が同意して離婚届にサインをすれば成り立ちます。

テレビドラマでもよくあるシーンですが、離婚に合意した夫に離婚届を渡す際には、面会時に手渡しすることができます。その後、留置場にいる夫が捺印した離婚届を受け取ります。それを役所に提出すれば離婚は成立です。

また、もしも夫に会いたくないという場合には、弁護士を介して離婚届けの受け渡しをおこなうことができます。

夫が離婚に合意しなければ離婚調停の申立てをする

もしも夫が離婚に合意しないのであれば、離婚調停を申し立てなければなりません。
 
離婚調停では、離婚理由が必要になりますが、夫が重大な犯罪によって長期間の服役をする場合や、軽犯罪を何度も繰り返してしまい、懲役が続くなどの状況であれば、逮捕を理由とした離婚が認められる可能性があります。

 ただし、夫が拘留中の場合、離婚調停への出席が認められなければ、調停が不成立となってしまいます。離婚協議や離婚調停の申し立ては、拘留期間が終わってからのほうがスムーズに進む可能性が高いと言えるでしょう。
 
離婚調停の手順は、次のようになります。

1.まず離婚調停に必要な書類を準備し、家庭裁判所に申し立てをします。
   ↓
2.調停期日通知書によって通知し、第1回目の調停を行います。
   ↓
3.そこで不成立になれば決まらなければ、さらに第2回目の調停へと進みます。
   ↓
4.調停が成立したら決まったら、家庭裁判所が調停証書を作成します。

その後、裁判所から調停証書が送られてきますが、双方はこの調停証書に書かれたことを履行しなくてはなりません。

離婚調停の申立から手続きは、できれば弁護士に相談してサポートを受けるほうが一連の離婚手続きは滞りなく進められます。

逮捕された夫に慰謝料請求はできる?

では、逮捕された夫に慰謝料の請求はできるのでしょうか?。慰謝料とは精神的に被った被害の損害賠償のことですが、逮捕だけを理由とした慰謝料の請求が、必ずしも認められるわけではありません。

慰謝料を請求すること自体はできますが、実際にそれが裁判所に認められるとは限りません。

逮捕されたから見返りとして「慰謝料を受け取れる」「その金額が増額される」といったことではなく、逮捕の原因、刑事裁判の状況、婚姻時の事情といった面から見て、重大な事由があったか否かの判断がなされます。

しかし、夫の逮捕によって、精神的な損害を受けたのであれば、慰謝料の請求は検討した方がよいでしょう。

慰謝料が請求できるかは、具体的な事件の内容や証拠次第となるため、いずれにしても、弁護士のサポートを受けた上で、必要な手続きを進めていくのが確実です。

子どもへの影響は?事件記録、戸籍

気になるのが夫が逮捕されたことによる子どもへの影響です。

前科、前歴、逮捕歴といった刑事事件に関わったすべての履歴を犯罪歴といいますが、こうした犯罪歴は、検察庁や裁判所に事件記録として保管されていて、罪を犯した事実は残り続けて消えることがありません。ただし、この事件記録を一般の人が見ることはできません。
 
一方、戸籍には、氏名や生年月日、本籍、両親の氏名、配偶者や子どもの氏名といった事柄が載っています。この戸籍には犯罪歴は記載されません。たとえ前科が複数あっても、戸籍には記載されないのです。

それでは、子どもの戸籍から犯罪歴のある夫の名前を消すことはできるのでしょうか?

戸籍には、父と母の名前が記載されているので、削除することはできません。夫の氏名は、子どもの父であるという事実に基づいて戸籍に載っているためです。

しかし、第三者が子どもの戸籍を参照して、そこから父親の犯罪歴がバレるというのは少ないでしょう。よほどの大きな事件で犯人の名前が全国的に知られるようになったというケースでなければ、その恐れは無いと言えるでしょう。

まとめ

夫が逮捕されて「前科が付いた」「新聞やニュースに名前が出た」「有罪で服役した」という場合には、夫を引き続き支えていくか、あるいは将来を考えて離婚するかは重要な判断です。

新しく生き直していくつもりであれば、離婚、慰謝料請求も視野に手続きをおこなう必要があります。夫が同意してくれれば問題ありませんが、そうでなければ困難な流れも予想されます。

ご自身の考えに沿った解決を目指していくならば弁護士に依頼するのが確実な方法です。まずは相談を受けながら、適切な解決を目指していきましょう。

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