夫婦で飼っているペットの親権争いが離婚トラブルになる?!どうやって解決するの?
離婚したとき、夫婦共有のペットは誰が親?
夫婦で飼っている犬や猫といったペット、普段は二人で仲良く共有していても離婚となれば話は別です。
最近では、「ペットの親権問題」という言葉もあるくらいで、離婚に際するペットの親権争いが増えているそうです。
人間の子供であれば法律に基づいて親権を決めることになりますが、では、ペットに関してはどのような判断をもとに解決するのでしょうか。
法律で解決する手立てはあるのでしょうか?
ペットは親権ではなく財産になる
人間の子供は民法(818条1項・3項)によって親権が決められます。
その点、法律でペットは親権ではなく、「財産」として扱われます。つまり、親権争いとは言わず、「財産争い」と言ったほうが適切ですね。
よって、離婚したあとにペットを引き取りたいのであれば、財産分与について理解しなければなりません。
財産分与はその言葉のとおり、お金や資産といった財産を分配することを表します。
購入したマイホームを例にすると、二つのパターンが考えられます。
まず一つ目が、「売却して現金を分配する方法」です。これはシンプルですね。住宅ローンが残っていれば、返済したあとに残った金額を分けることになるでしょう。
仮に、売却してもローンが残ってしまった場合、その借金についても分配するのが一般的です。とはいっても実際には、どちらかの名義でローンを残すことになりますから、その分だけ他の財産を多めにもらうというのがパターンです。
次に「離婚後もどちらか一方が住み続けるケース」です。
これについても上記の考え方と同じで、住まずに退去していくほうが、その分だけ他の財産を多めにもらうなどしてバランスをとることになるでしょう。
ペットの財産分与は?
結婚後に夫婦の共有財産で購入したペット。これを離婚時にどちらが引き取るかで揉めるケースが近年増えているという。アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士に話を聞いた。
「我が子同然にかわいがってきたペットなら、当然お互いに引き取りたい気持ちが強い。特に、子どもがいない夫婦の争いはかなり熾烈ですね」
ところが、飼い主の気持ちとは裏腹に、法律上のペットの扱いはなんともシビア。
「法律上、ペットは車や家具と一緒でモノという扱いです。したがって親権という概念がありませんし、もちろん養育費も発生しません。結婚後に夫婦で築いた貯金や家計のなかから購入費を支出したのであれば、あくまで財産分与の対象です。つまり話し合いでどちらが引き取るかを決め、引き取った方が相応の金額をもう一方に支払う形で決着します」ペットの“親権問題”離婚時に増加 R25(2014年8月28日)
分配の考え方は現金やマイホームといった財産と基本的には同じですが、ペットに関しては平等に振り分けることが不可能です。なんせ生き物ですから当然ですよね。
そうなると、親権に似た要素も考慮して分与することになります。
ただ単に財産として扱うのではなく、離婚後の世話や環境などを考慮しながら、どちらが育てたほうが適切かを決めるのが通常の流れです。
その結果、引き取れなかった場合も面会のルールを決めることで、定期的にペットと会う機会を約束するケースなどあるようです。
ペットの親権争い まとめ
いずれにしても人間の子供と同じで、ペットにとって環境の良いほうが離婚後の飼い主に適していることは言うまでもないでしょう。
結婚生活の中で家族同様に愛情を注いできたわけですから離婚でトラブルになるのは当然です。
しかし、前提としてペットのことを一番に考えてあげなければいけません。ペットは言葉を話すことができませんが、感情はあります。できるなら、どちらの飼い主とも一緒に居たいでしょう。
そういった感情面を十分に心得て、なるべく争わないよう解決したいものです。
- 法律でペットは「財産」として扱われる
- ペットの親権は「財産分与」で決める
- ペットの財産分与で大切になる要素は「ペットの世話や離婚後の環境」である
- 子供の親権と同じで、ルールを決めれば定期的に「面会」できる場合もある
- ペットのことを一番に考えて揉めずにどちらが引き取るかを解決したい