連れ子はなぜ虐待されるのか?

stepchildren abuse

子供の虐待という忌まわしい事件が連日ニュースなどで報道されています。

最近、特に目を引くのが、連れ子が虐待されるケースです。再婚した義理父や同居中の男性パートナーが子供に虐待をおこなう事件が頻繁に起きています。

連れ子の虐待はなぜ起きるのでしょうか?

ステップファミリーの増加と虐待

結婚する夫婦の3組に1組が離婚する現在では、離婚した女性が子供を連れて新たなパートナーと再婚、同居するというケースは珍しくありません。

そのような「離別や死別後、子連れで再婚した結果形成される家族」のことはステップファミリーと呼ばれています。このステップファミリーで問題となっているのが、妻(あるいは同居女性)の連れ子に対する夫(あるいは同居男性)からの虐待行為です。

連れ子へ虐待する男たち

ステップファミリーになる場合、親同士は当然ながら愛情があって同居したり結婚します。しかし、夫の中には、子供嫌いを超えて、連れ子に対して憎しみの感情を持ち虐待するような人間がいます。

虐待した男たちのコメントがニュースなどで聞かれますが、以下のような一方的で身勝手なものばかりです。

  • 子供が自分の言うことを聞かない
  • 自分の言うことを理解しない
  • 夜泣きがうるさい
  • 遊びに行くのに邪魔
  • 養育にお金がかかる

なぜ、連れ子は虐待されるのか?

連れ子が虐待される理由として、橘玲(たちばな あきら)氏の著作「言ってはいけない 残酷すぎる真実 」の中に興味深いコラムがありますので紹介します。
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

家庭内では男が妻や同棲相手の(自分とは血縁関係にない)子どもを虐待したり、殺したりすることが際立って多い。また母親による子殺しのうち、男から強要されて生まれたばかりの実子を殺す事件がかなりの割合に達する。こうした主張を受け入れがたいと感じる人もいるだろう。だが反論の前に、次のデータを見てほしい。

・両親とも実親の虐待:0~4歳 0.2人、5~9歳 0.2人、10~16歳 0.3人
・実親と義理親の虐待:0~4歳 15人、5~9歳 5.2人、10~16歳 5人

【出典】:カナダの児童養護協会からオンタリオ週ハミルトン市役所に報告された、1000人あたりの子どもの虐待数(1983年)

このデータが示すように、両親ともに実親の子どもと比較して、連れ子は虐待を受けやすいということがわかります。

連れ子の年齢により虐待の状況も変化する

虐待は連れ子の年齢によって変わってきます。先のデータを見ても分かるように0~4歳までと小さい子どもの虐待数が最も多くなっています。

子供が幼いほど虐待の被害が多い。生まれたばかりの赤ん坊は養育コストが投じられていない分だけ、(無意識のうちに)利害得失を計算してあきらめやすい」という心理学の仮説と整合的だ。逆にいうと、子供が成長するに連れて養育の累計コストも大きくなり、母親はより強く子供を守ろうとするだろう。

橘氏の考察によると、養育の累計コストが幼児虐待に影響するとしていますが、母親がより守ろうとする理由は愛情も同時に大きくなっているためなのは言うまでもないでしょう。

連れ子の虐待は動物的な本能?

男性は女性のような母性本能を持ち合わせていないため、自分とは血が繋がっていない子どもに対して愛情を持てないというのも一つの理由と言えるかもしれません。

それと共に、連れ子への虐待は動物的な本能が少なからず影響しているという仮説があります。

動物社会では、オスは自分の遺伝子を受け継いだ子孫を残すことが最優先です。それを、連れ子に対しては「他人の遺伝子を受け継いだライバル」と認識してしまうことで「憎しみの感情」が生まれるというものです。

チンパンジーやライオンの新しいボスが、前のボスの子どもを皆殺しにするケースに似ている面があります。

どんな男たちが虐待行為をおこなうのか

虐待行為をおこなう男たちについては、心理学の専門家、犯罪学の専門家の意見が必要になると思います。ここで一つ言えるのは「虐待の連鎖」により、このような虐待行為がおこなわれていると言うことです。

  • 幼少時代に愛情を受けて育たなかった
  • 幼少時代に親から虐待を受けた

つまり、幼少の頃に親や周囲から愛情というものを受けずに育った子どもたちが、大人になって復讐するかのように罪がない子供に虐待をおこないます。

このような子どもへの虐待をおこなう男たちは、その行為を止めることはまず無いでしょう。女性なら、それを肝に銘じなくてはなりません。

虐待する男からは逃げること

女性の多くが、連れ子への虐待をうすうす感じていても、夫に対して「機嫌を損ねたくない」、「余計な事を言うと自分も暴力を振るわれる」などの理由で、子どものことは見て無ぬふりをしてしまう傾向があります。

しかし、幼い連れ子への虐待行為に対しては、母親が守ってあげるしかありません。

男性が子どもの虐待を止めないようなら「連れて逃げる」しか解決方法はないでしょう。公的機関や信頼できる人にできるだけ早く相談して下さい。

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