離婚した相手が養育費を払ってくれない時の対処法とは

離婚の際に支払う約束をした養育費が、時間の経過とともに支払われなくなってしまい、困っている方もいるかもしれません。

夫婦は共同で子どもを育てていくため、子どもの学費や生活費などの養育費は夫婦で負担するべきものです。

そのため、離婚後でも養育費は支払われるべき費用なのです。

しかし、この養育費が支払われない場合、どうすればよいのでしょうか。

この記事では、離婚した相手が養育費を支払ってくれなくなった時の対処法について解説していきます。

まずは話し合いで解決を試みる

離婚した相手からの養育費の支払いが止まっている場合、どのようにしたらよいのでしょうか。

電話やメールなどで連絡を取る

養育費に支払いが滞っている場合、まずは電話やメールなどで相手と連絡を取ってみましょう。

養育費の支払いがない旨ときちんと伝え、支払いが滞っている理由について聞いてみてください。

すると、養育費が支払われない事情が判明することがあります。

たとえば、

  • 仕事が忙しく銀行に行けなかった
  • 体調を崩し入院していた
  • 会社が倒産し、自分の生活費も困っていた

などです。忘れていただけなら、すぐに支払うようお願いしましょう。

話し合いをする場合は注意が必要

相手に事情があって養育費が払えないケースでは、「今後どうしていくのか」具体的に話し合う必要があります。

ただ、話し相手は離婚した相手です。養育費を支払ってくれないこともあり、ついつい感情的になってしまいがちです。

冷静な話し合いが難しい場合は、双方の両親などの第三者を同席させてください。

話し合いでは支払いが滞っている理由を聞いた上で、「支払いの開始時期」「支払いの期限」など具体的に決める必要があります。

病気などでやむを得ない場合には、養育費の支払いを一旦ストップし、払えるようになった段階で支払いをスタートさせましょう。

話し合いで解決ができない場合 - 書面での請求

特段の理由なく、話し合いにも応じない場合には「書面で請求していく方法」があります。

内容証明郵便を送って請求する

内容証明郵便は、郵便局がその文章を送ったことを謄本により証明してくれる制度です。

具体的には、「いつ・(誰から)誰に・どんな内容のものを送ったか」を証明することができます。

この内容証明郵便を使って「催告書(養育費を支払うよう相手に要求する文書)」を送ることで、相手方は驚いて支払ってくれる場合もあります。

養育費の支払いに限らず、内容証明郵便の催告書は「相手方に何か請求する場合」にはよく活用される手段です。

内容証明郵便で送る「催告書」の具体例

ただし、「催告書の内容」は適当に書けばいいというものではありません。以下のようなフォーマットに則って書く必要があります。

【催告書の記入例】

                催告書

私は、あなたとの間に、平成〇年〇月〇日に成立した離婚協議書の内容に基づき、長女〇〇の養育費として、月〇万円の支払いを受けることになっていました。
しかし、離婚直後は支払ってくれていたものの、平成〇年〇月以降はまったく支払われておりません。現在、〇ヶ月分、合計金〇〇万円の支払いが滞っております。
つきましては、本書面到着後〇週間以内に、平成〇年〇月以降の養育費合計〇〇万円をお支払いください。〇週間以内でのお支払いがない場合には、法的手続きをとることになりますので、念のため申し添えます。

平成〇年〇月〇日
                         東京都〇〇区〇〇町〇番地〇号
                               △△花子(印)
                         東京都〇〇区〇〇町〇番地〇号
                               ◇◇太郎 殿

弁護士に書面の作成を依頼することも可能

内容証明郵便は独特なので、その形式を満たしていないと郵便局側でも手続きができません。

そのため、内容証明郵便の文書の作成法がよくわからず諦めてしまう人もいます。

そんなときには、弁護士などの専門家に書面の作成を依頼する方法があります。専門家であれば、普段から内容証明郵便を作成しているため、それほど時間がかからず作成してもらうことができるでしょう。

内容証明郵便にかかる費用

内容証明郵便にかかる費用ですが、自分で作成できる場合には、郵便局に支払う費用のみになります。

内容証明郵便に使用する用紙一枚につき「430円」で、一枚プラスするごとに「260円の追加料金」が必要です。

この用紙の枚数に対する料金にプラスして、郵送料として「一般書留料金」がかかります。

書面で解決が見込めない場合 - 裁判所の履行勧告・履行命令の利用

内容証明郵便を利用して、相手方に養育費を支払ってもらうよう要求したにもかかわらず、なお支払ってもらえない場合には、裁判所の助けを借りることもできます。

具体的には、家庭裁判所に間に入ってもらい、履行勧告や履行命令をしてもらう方法です。

履行勧告・履行命令とは

履行勧告は、家庭裁判所から相手方にきちんと養育費を支払うよう連絡してもらえる制度です。裁判所から直接連絡がいくことで、未払いの重大さに気づかせ、支払いが履行されることが期待できます。

履行命令は、履行勧告をしてもなお養育費の支払いがなされないような場合に利用できる制度で、家庭裁判所から一定の期間を設定してもらい、養育費を支払うよう相手に命令してもらう手続きです。

相手がこの命令に従わないと10万円以下の過料が処される可能性があります。ただし、この罰金は申立人、つまりあなたに支払われるわけではないので注意してください。

制度の利用には条件がある

履行勧告や履行命令を利用するためには条件があります。

その条件とは、以下のようなものです。

  • 家庭裁判所の調停を利用して養育費を取り決めた場合
  • 裁判をおこない養育費を支払うよう判決が出ている場合

「離婚の際、養育費を話し合いで決めた場合」や「協議離婚で養育費について公正証書を作成した場合」では利用できません。

家庭裁判所の履行勧告や履行命令が利用できない場合、裁判を起こして、養育費を支払ってもらうために勝訴判決を得ることが必要になります。

履行勧告・履行命令にかかる費用

履行勧告・履行命令は家庭裁判所が関与する手続きですので、履行命令は「手数料500円」、履行勧告については費用がかかりません。

これらの方法は、裁判所が支払うように命じているという「心理的なプレッシャー」を相手に与えられるので、非常に有効です。

しかし、履行勧告や履行命令は、あくまで「決めた約束を守るように家庭裁判所が要請や命令をするだけ」で強制力はありません。

最終的に強制執行で財産を差し押さえる方法

裁判所の履行命令や履行勧告を利用しても、なお養育費を支払ってもらえないような場合には、最終的な手段として強制執行という方法があります。

強制執行で、相手の持っている財産などを差し押さえてしまうのです。

強制執行なら将来の養育費の差し押さえが可能

強制執行を利用すると、「過去に支払ってもらえなかった養育費」だけでなく、将来の養育費についても差し押さえが可能になるというメリットがあります。

強制執行の場合、現金だけでなく預金口座にある貯金や不動産をはじめ、将来にわたってもらえる給与なども差し押さえることができます。

強制執行に必要な書類

強制執行をするためには、以下の書類を集め申請する必要があります。

  • 陳述催告の申立書(「債権差押命令申立書」記載してもOK)
  • 執行力のある「債務名義」の正本
  • 債務名義正本の送達証明書
  • 確定証明書(債務名義が家庭裁判所の審判等の場合)
  • 当事者目録、請求債権目録、差押債権目録  など

強制執行手続きの流れ

強制執行手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 申立書と必要書類を裁判所に提出
  2. 提出された書類を裁判所が審査
  3. 書類に不備などがなかった場合は、そのまま差し押さえ命令が出される
  4. 差し押さえ決定後、「差し押さえる財産がある先」に連絡する(例:給料を差し押さえる場合、会社に連絡し取り決めをおこなう)

強制執行に関する詳細は、以下の記事をご覧ください。

離婚した相手が養育費を払ってくれないときは、弁護士に相談を

以上、養育費が支払われない場合の対処法について解説しました。

これらの方法はすべて自分1人でおこなうことが可能ですが、実際には手続きが複雑かつ必要書類の多すぎるため、現実的ではありません。

養育費を支払われず困っているなら、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談することで、対処法などの具体的なアドバイスを聞くことができます。

何より、弁護士が介入することで相手が話し合いに応じる可能性が高くなるのです。

困った時は1人ですべて解決しようと思わないでください。養育費に関する困りごとは、法律の専門家である弁護士に一度相談してみてください。

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