養育費が支払われない時は強制執行で回収|その流れや手続きなどを紹介

離婚をする際に、子供の養育費の支払い日や金額について元夫と取り決めをしたにも関わらず、いつの間にか支払われなくなった…そんな時どうすればいいのでしょうか。

子供を育てていくには、様々な費用がかかります。子供の養育にかかる費用は、離婚した親にも負担する義務があります。

この記事では、養育費を支払ってもらえない時の対処法である「強制執行」についてご紹介します。

強制執行はどのようにすればいいのか、手続きや申請の流れなど詳しく解説していきます。

元夫から養育費が支払われない場合はどうすればいい?

養育費が支払われないとしたら、生活に困ってしまう人も大勢います。

約束したはずのものが支払われない場合はどうすればいいのでしょうか。

養育費の請求方法は大きく3つ

養育費が支払われない場合、請求方法としては以下の3つの方法があります。

  • 直接相手に連絡し、支払うようにお願いする
  • 内容証明郵便で請求する(郵便局側が「養育費を請求する書面と送った」と証明してくれるので、相手は言い訳ができない)
  • 家庭裁判所に養育費支払いに関して「調停」を申請する

調停をすれば、養育費が支払われない場合は家庭裁判所から「履行勧告・履行命令」を出すことができるようになります。

履行勧告とは、相手に養育費を払うよう家庭三番所が説得をすることです。それでも支払いに応じない場合には、履行命令といって、養育費を支払うよう命令します。

命令に従わなければ「10万円以下の過料」が科せられますが、これは裁判所に支払うお金であり、あなた自身の手元に入ってくるわけではないのです。

いくら請求しても支払われない時は「強制執行」で回収

家庭裁判所から履行命令を出しても養育費が支払われないというケースは珍しくありません。

このような場合「地方裁判所による強制執行」、つまり財産を差し押さえることで養育費を払ってもらう必要があります

ただし、強制執行は必ずできるわけではなく、以下のようなケースに限られます。

  • 養育費の支払いについて調停が成立している場合
  • 公正証書に「養育費が未払いの場合、強制執行する」ということが明記されている場合
  • 養育費の支払いをめぐる裁判を起こし、勝訴している場合

養育費の支払いに関する強制執行について

どうしても元夫が養育費を支払ってくれない場合、強制執行で養育費を回収することができます。

では、強制執行をする場合、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。

強制執行の対象財産を確認する

監護者(子供と一緒に住み世話をする親)が養育費を強制執行するためには、最初に相手の元夫が差し押さえできる財産を持っているかどうかを調べる必要があります。

なぜなら、相手に財産がなければ差し押さえをしようにもできないからです。強制執行の対象となる財産には、以下のようなものがあります。

  • 給料・預金:会社から払われている給料・口座にある預金
  • 不動産:相手が持っている土地や建物
  • 動産:貴金属、宝石美術品、裏書のできる有価証券など。ただし、洗濯機やテレビなどの生活必需品は差し押さえできない

相手の財産は自分で調べなければならない

このような相手方の財産について、裁判所が調査してくれないため、監護者自身が調べなくてはなりません。

銀行口座を差し押さえる場合、「銀行名」「支店名」「口座名義・番号」が必要になります。

また、給与を差し押さえる場合にも、働いている会社名や所在地、代表者の氏名などを正確に調べて、申立書に記載する必要があります。

もしも、どのような財産が差し押さえできるかがよく分からない場合は、弁護士に相談して調査方法などのアドバイスを受けることもできます。

強制執行は元夫に財産があるタイミングで行う

相手がいつも多額の財産を持っているとは限りません。財産がないときに強制執行をしても、必要な金額を回収できません。

また、元夫にも生活があるため、給料の全額を差し押さえることはできませんが、「手取り額の2分の1」までなら差し押さえることが可能です。

差し押さえの金額が多い場合、「元夫に財産があるタイミング」、たとえばボーナスの時期などにあわせて強制執行するべきでしょう。

強制執行をする際の流れについて

強制執行を申し立てる際は、事前に強制執行の流れを把握しておきましょう。

債務名義の確認が重要

まず、債務名義について確認してください。

債務名義は、強制執行で「支払う金額」「支払いの期限」「債権者(請求する側)や債務者(請求される側)」などが記載され、これらの内容が公に証明されているものを指します。

これがなければ、そもそも裁判所に強制執行を申請することはできません。

裁判で元夫が養育費を支払うことが認められた場合には、その判決が債務名義となります。

調停離婚などにより元夫が養育費を支払うことになった場合には、その時の取り決めを記載した調停調書が債務名義となります。

協議離婚の場合では、元夫が「①養育費の支払いに合意し、②支払わなかった場合は強制執行をするということ」について承認した「書類」が債務名義となります。

ただし、この書類は「公正役場に公正証書の作成を請求」しておく必要があります。

申請書の作成と必要書類

次に強制執行を申し立てるため「債権差押命令申立書」を作成します。

「債権差押命令申立書」は、裁判所のホームページからダウンロードが可能です。必要事項を記入し、以下の書類と合わせて裁判所に提出します。

  • 陳述催告の申立書(「債権差押命令申立書」記載してもOK)
  • 執行力のある「債務名義」の正本
    ※債務名義によっては不要の場合あり
  • 債務名義正本の送達証明書
  • 確定証明書(債務名義が家庭裁判所の審判等の場合)
  • 当事者目録,請求債権目録,差押債権目録 など

専門的な書類が多いため裁判所や弁護士に相談しながら集めることをおすすめします。

裁判所は、強制執行する所在地を管轄する地方裁判所になります。たとえば、元夫に支払われる毎月の給料を差し押さえる場合、会社の所在地を管轄する地方裁判所になります。

どの裁判所に提出すればいいのか分からないような場合は、お住まいのある地域の裁判所の窓口にお尋ねください。

強制執行にかかる費用

強制執行には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

「債務名義が判決」の場合を例に見てみましょう。具体的には、以下のような費用項目になります。

  • 申立手数料(1件につき4,000円)
  • 本申立書作成および提出費用(1,000円程度)
  • 差押命令正本送達費用(3,000円程度)
  • 資格証明書交付手数(1,000円程度)
  • 送達証明書申請手数料(数百円程度)
  • 執行文付与申立手数料(数百円程度) など

ケースによって異なりますが、すべて自分でおこなった場合にかかる費用は「1万円前後」だと考えてください。

強制執行は継続的に行われる

強制執行というのは、原則「請求額の全額」を一度に回収します。

しかし、養育費のように毎月継続的に支払いを受けるようなものについては、一度手続きをすれば、毎月給料を差し押さえることができます。

つまり、会社が毎月の元夫の給料から養育費を天引きして、それを監護者に渡すことができます。期間は特に決まっておらず、元夫がその会社に勤務している限り、差し押さえが継続されます。

ただし、転職や退職した場合は、新しい会社の給与を差し押さえるために、再度強制執行の手続きを取る必要があります。

養育費の強制執行を検討するなら、弁護士に相談を

養育費は支払ってもらえないと、子供に不自由な生活を強いることにもなり、子供を養育する親にとっては、非常に重要な問題です。

養育費を支払ってもらうための最終手段として強制執行をする方法があります。

しかし、強制執行をする前には様々な準備や手続き、必要書類の収集などをおこなわなければなりません。あなた1人で支払われない養育費を回収することは簡単ではありません。

仮に相手の財産を差し押さえることができても、その後トラブルに発展するケースも少なくないのです。

当サイトでは、養育費の未払いに関して数多くの実績を有する弁護士を数多く紹介しています。

相談だけでも解決の糸口を見つけることができる可能性があります。電話やメールでも相談ができるので、一度お気軽にご相談ください。

離婚・慰謝料の問題をなくすため、ソーシャルメディアで共有をお願いします。
「今すぐ離婚したい」「慰謝料を絶対にもらいたい」とお考えの方へ
ひとりで悩んでいませんか?あなたは1人ではありません!
弁護士を探す
当サイトでは離婚問題を専門に扱う女性弁護士のみを紹介しています。
実績・経験豊富な離婚に精通したスペシャリストばかりです。離婚交渉を有利に進めてくれる女性専門家に相談してみませんか。 離婚問題につよい女性弁護士を検索する
計算する
「離婚すると慰謝料はどのくらいもらえるの?」「離婚後どのくらいの生活費がかかるの?」とお悩みなら、下記の自動計算シミュレーターで簡易計算してください。
解決する
離婚問題は浮気やDVなど要因が多岐に渡り、その解決方法もそれぞれ違います。
離婚を有利にすすめる為にはどうしたらいいのか?どのような準備が必要か?分かりやすく解説しています。

離婚問題、ひとりで悩んでいませんか?アナタはひとりじゃありません!無料相談!!数多くの離婚問題を解決へと導いてきた弁護士を紹介いたします。親身になって相談にのってくれる弁護士はコチラ

トップへ戻る