養育費支払いの取り決め

離婚における養育費とは、親権を得なかった者が親権者の保護する子供に対して支払う生活費や教育費のことを表します。つまり、養育費とは離婚後、子供に対して支払う生活費や教育費のことを言います。実際には子供を引き取った親権者に対して支払うことを取り決めますが、根本をたどれば子供が主体となり発生する費用です。

離婚における養育費の現状

養育費の取り決めは人それぞれです。しかし、養育費を算出するうえで一定の基準があります。支払う側の収入と親権者の収入、子供の年齢や人数を考慮したうえで計算式に基づき算出しますが、実際には取り決め以前の問題で養育費の受け取りを断念する親権者も多く存在します。

DVの被害から逃げるために離婚した方や相手の支払い能力に見切りを付けた親権者など、養育費を取り決めることなく離婚しています。自分一人で子供を育てていく覚悟は素晴らしいことです。しかし、離婚後の負担を考えると例え少額でも養育費を取り決めておけば、子育てに対する精神的な不安も少しは和らぐのではないでしょうか。

養育費の取り決め

養育費を取り決める際、必要となる主な条件が以下の5つです。

  • 支払い期間の決定
  • 養育費の額面を決定
  • 急な出費に関する取り決め
  • 毎月の支払い日と支払い方法
  • 親権者が再婚した場合の養育費について

それぞれの項目について確認してみましょう。

支払い期間の決定

通常であれば、高校を卒業して社会人となる18歳を終える最後の月までを目安として取り決めます。しかし、大学や専門学校への進学も視野に入れてと取り決めなければなりません。

その際は、離婚協議書に、『丙(子供の氏名)が18歳に達しても進学を希望した場合は、乙(親権者)の請求により、甲(支払う者)は乙と協議の上、直ちにその必要費用を乙に支払うものとする』などといったように進学に際しての取り決めを記述する必要があるでしょう。

支払い期間の決定

養育費は支払う側の収入状況、親権者の収入状況、子供の年齢、子供の人数を判断要素として算出します。下記にて養育費の計算式をもとに算出した相場をいくつかご紹介いたします。

例1:【支払う側の年収380万円 親権者の年収(離婚時に無し)子供1人8歳】
平均で、おおよそ月額4~5万円前後です。交渉次第では6万円前後も可能です。
例2:【支払う側の年収380万円 親権者の年収180万円 子供1人8歳】
平均で、おおよそ月額2~3万円前後です。交渉次第では4万円前後も可能です。
例3:【支払う側の年収380万円 親権者の年収(離婚時に無し)子供1人15歳】
平均で、おおよそ月額5~6万円前後です。交渉次第では7万円前後も可能です。
例4:【支払う側の年収380万円 親権者の年収180万円 子供1人15歳】
平均で、おおよそ月額3~4万円前後です。交渉次第では5万円前後も可能です。
例5:【支払う側の年収450万円 親権者の年収180万円 子供1人5歳】
平均で、おおよそ月額5万円前後です。交渉次第では6~7万円前後も可能です。
例6:【支払う側の年収450万円 親権者の年収180万円 子供2人12歳と15歳】
平均で、おおよそ月額6~7万円前後です。交渉次第では8~9万円前後も可能です。

急な出費に関する取り決め

養育費における急な出費とは、主に『入学・進学・病院入院等』で発生する特別な出費を表します。入学費用であれば必要品の購入代金の一部の費用、進学であれば中学や高校への私立進学、または大学への進学が要因で支出が増加する際は養育費の見直しや請求、病院入院費に関しては、親権者だけでは負担が大きすぎる費用の請求を許可する、など、離婚後の子育てにおけるイレギュラーに備えた契約を言います。

離婚協議書を締結する際に、『丙(子供の氏名)が入学・進学・病院入院等で特別の出費を要したときは、乙(親権者)の請求により、甲(支払う者)は乙と協議の上、直ちにその必要費用を乙に支払うものとする』などといったように急な出費に際しての取り決めを記述する必要があるでしょう。

毎月の支払い日と支払い方法

一般的には、支払う側の給料日に合わせて設定することが多いでしょう。支払い方法は金融機関の振込です。手渡しでは、支払った際の証拠が残らないためトラブルの原因となりかねますので銀行、もしくは郵便局の振り込みを利用するようにしましょう。

親権者が再婚した場合

親権者が再婚したからといって元の配偶者の支払い義務が消滅するわけではありません。しかし、状況に応じて判断するのが好ましいでしょう。親権者が再婚するとなれば収入も増えるでしょうし今までの養育費を減額することも視野に入れなければなりません。

もしくは、親権者が養育費の受け取りを拒否した場合には養育費の取り決めは消滅することとなります。つまり、元の配偶者に対して『再婚するから養育費は払わなくていい』と、承認すれば今まで養育費を支払っていた者の支払い義務は無くなります。

いずれにしろ、離婚に関する養育費の取り決めは『離婚協議書』を作成し、公正証書として締結することを強くオススメいたします。養育費の取り決めが消滅する際に関しても、締結した公正証書の見直し、または破棄する必要がありますね。

離婚協議書と公正証書

『離婚協議書』の作成と締結は忘れてはいけない必須項目です。離婚協議書を『公正証書』にすることで法的な効力を持たせることが可能となります。万が一に備えて公正証書にしておくことが重要です。

養育費に関する取り決めを離婚協議書に記述し公正証書を締結することで離婚後のトラブルを避けることが可能となります。離婚協議書、公正証書には専門的な知識や様式が不可欠です。後のトラブルを回避するためにも見落としの無い方法で有効となる離婚協議書の作成、公正証書を締結しなければなりません。

養育費に関する離婚協議書のサンプル

夫○○を甲、妻○○を乙とする。
両名は今回協議の上離婚することを合意し、その届出にあたって次のとおり契約した。

第1条 甲乙間の子○○(○年○月○日生。以下丙という)の親権者を乙と定め、乙はその養育監護を担当するものとする。

第2条 甲は乙に対し丙の養育費として○年○月○日から丙が成年に達する月まで一月○○円を毎月○日、「○○銀行××支店の乙名義 普通預金○○○○」の銀行口座に振り込むものとする。但し、本養育費は、物価の変動に応じ甲乙協議の上増減できるものとする。

第3条 丙が入学・進学・病院入院等で特別の出費を要したときは、乙の請求により、甲は乙と協議の上、直ちにその必要費用を乙に支払うものとする。

第4条 乙は甲に対し丙との面接交渉を認めるものとする。面接の日時場所方法及び方法等については、丙に十分配慮しながら、双方誠実に協議してこれを定めるものとする。

第5条 甲は、第2条及び第3条記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

第6条 甲及び乙は、以後相手方に対し、本契約書記載以外の金銭的要求その他相手方の迷惑となるような一切の行為をしないことを相互に確認、誓約した。

○年○月○日
住所
夫署名  捺印
妻署名  捺印

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