流行りの別居婚は違法行為だった!民法752条では「夫婦は同居しなければならない」

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流行りの別居婚 実は法律違反?

広末涼子や瀬戸カトリーヌ、あるいは新庄剛志など、特に不仲じゃないのに同じ家には住まない、「別居婚」なる結婚関係をする芸能人が話題になっています。

“新しい夫婦のかたち”などと持ち上げる一方で、「それって民法752条に違反していないか?」という疑問も囁かれているわけです。

民法752条というのは、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」というシンプルな条文で、夫婦生活のあり方を示したもので、そこにはちゃんと夫婦は同居しなければならないと明記してあります。

確かに別居婚は法律違反行為。だけど罰則は無い

民法752条というのは、夫婦になったからには、同居義務(一緒に住まなければならない)、協力義務(協力し合わなければならない)、そして扶助義務(助け合わなければならない)という三つの義務がありますよ、という事を示した法律です。

ですから、一緒に住まない事を前提とした結婚は、お互いが同居義務を果たしていないので、義務違反になります。

ただし、この法律の微妙なところは、義務を果たさなかったからといって、刑法みたいに即刑罰が下るというものではありません。また、この752条というのは「夫婦というのは、本来こういうものだよ」という指針を国が示しただけに過ぎません。

したがって本人同士が合意の上であれば、別に同居していなくても問題はないわけです。

不仲ではないが別居している夫婦は山ほど居る

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今でこそ「別居婚」という新たな造語を作って、新しがっていますが、昔から仲が悪いわけではないのに、別居をしている夫婦など珍しくはありませんでした。

もっとも多い理由は、仕事の都合でどちらかが単身赴任しているケースです。

いくら民法752条があるからといって、単身赴任を断ったら会社内で大問題になりますし、かといって無理やり配偶者を赴任先まで連れて行ったら、今度は子供や家の問題が発生してしまいます。

そんなわけで、同居義務というのは努力目標であり、お互いの事情を理解した上で納得しあえていれば、実態は別居していても法律違反にはならないと解釈されているわけです。

仲が悪くて別居すると効力を発揮する民法752条

それでは民法752条は単なるお飾りの法律家といえば、そういうわけではありません。752条がその効力を発揮するのは、“夫婦仲が悪くて別居している場合”になります。

たとえば、配偶者に家に帰ってきてくれと言ったのに、相手が帰ってこない。あるいは配偶者が勝手に家を出て行ってしまったという場合、別居はお互いに納得できていない別居となりますので、このケースでは同居義務違反が発生したことになるわけです。

ただこの違反行為には刑罰は定められていません。

ではどういう効力があるかといえば離婚調停とか、もっとこじれて離婚裁判にまでいっちゃった場合、同居義務を果たさなかったという事実が不利な材料になるわけです。

まぁ、それが決定打になるという事もありませんが、仲は悪くても夫婦なら一緒に住みましょうよという考え方が民法752条には込められています。

別居婚は自由だけど、夫婦は協力しあって助け合おう

夫婦の形というのは、夫婦の数と同じ分あるといっても過言ではありません。

夫婦仲が良いうちは、別居しようが同居しようが自由です。それを縛るほど日本の法律は堅苦しくはありません。

そして752条の他の義務である協力義務と扶助義務を守っていけば、仲が悪くて別居義務が問題になるようなことにはならないでしょう。

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