フランスで多い「事実婚」が日本でも増加中。調べたら法律上のデメリットが多かった!

de-facto marriage

事実婚って何?

あなたは事実婚と聞いて、どんな印象を受けますか?

「同棲」「結婚未満」「内縁の妻」など、事実婚に対するイメージは人それぞれですが、実際には婚姻届を提出するか、しないかの違いだけです。ちなみに、婚姻届を提出して入籍すれば「法律婚」となります。

ただし、条件を満たさなければ事実婚は成立しません。

まず一つ目に、「二人が婚姻の意思をお互いに対し示していること」、そして「社会的な観点から、夫婦と判断できるくらいの期間において共同生活を営んでいること」です。

つまり、本人同士が結婚の意志をもっていて、さらに周りの人から見ても夫婦と何ら変わらない生活を送っていると判断できれば事実婚として認められます。

「婚姻の意思」と「結婚生活と同じ生活の実態」が必要になるわけですね。

事実婚は“同棲”とは別の扱いです。同棲は同居しているだけの状態で、婚姻の意思も結婚生活のような実態も必要ありません。単にカップルが同棲しているだけで、事実婚としては成立しないのです。

婚姻と同じように法律が適用される

“事実婚が成立しているか不安”という方には、共同生活を始めるにあたり「住民票」を一緒にしておくことをおすすめします。

その際は、世帯主との続柄を「妻(未届け)」と記入しておきましょう。そうすれば、事実婚を証明するときに便利です。

婚姻届を提出していなくても事実婚が成立していれば、法律上でも正式な婚姻と同じ扱いになるので“いざという時”のために大切な備えと言えますね。

例えば、お互いの財産は「共有財産」です。事実婚が終わるとき(内縁解消)には、離婚と同じように「財産分与」の権利が発生します。手続きに多少の手間をとりますが、生命保険の受取人にも設定(指定)できます。「遺族年金」も対象です。

そのほかにも、浮気が原因で事実婚が破局(内縁を解消)する場合など、「慰謝料」を請求することも可能です。通常であれば結婚した家庭が入居する「公営住宅」の利用も認められます。住宅ローンも組めるようになるので、ほとんど法律婚との差が感じられないほどです。

【事実婚に関する、法律の主な適用範囲】

  1. 夫婦の同居・協力扶助義務(民法752条)
  2. 貞操義務、婚姻費用の分担義務(民法760条)
  3. 日常家事債務の連帯責任(民法761条)
  4. 夫婦財産制に関する規定(民法762条)
  5. 内縁不当破棄による損害賠償、内縁解消による財産分与(民法768条)
  6. 遺族補償および遺族補償年金の受給権(労働基準法79条・労働基準法施行規則42条)
  7. 避妊手術の同意(母体保護法3条)
  8. 各種受給権(厚生年金保険法3条の2、健康保険法1条の2、労働者災害補償保険法16条の2)
  9. 賃貸借の継承(借地借家法36条)
  10. 公営住宅の入居(公営住宅法23条の1)

事実婚の弱点

婚姻届を提出しなくても法律で婚姻関係が認められるなら“法律婚”は必要ないのでは?

単純に判断すると、そう思ってしまいます。しかし、事実婚には決定的な弱点があります。主な要点は、「配偶者の税金」「相続権」「生まれた子供に関して」、この3つです。

把握しておかなければならない重要なポイントになるので、きちんと理解したうえで事実婚を決断しましょう。

<事実婚の実質的なデメリット>

Love and Marriage 298/366
Love and Marriage 298/366 / Skley


  1. 税務関係で配偶者としての優遇措置(特別措置)を受けられない
  2. 法定相続人として認められず相続権が無い(ただし、遺言書で指定することは可能)
  3. 生まれた子供は、相手の認知が必要になる(非嫡出子 扱いになる)
  4. 子供が生まれたとき、戸籍に記載される内容が法律婚の場合と異なる

何かと広い範囲で法律が適用される事実婚も、税金面、相続権、子供の戸籍など、これらの問題について現在の法律では解決できません。

一見、便利に思われがちな事実婚ですが、安易に決断すると後々大きな障害が待ち受けています。

事実婚に関する注意点まとめ

  1. 条件を致さなければ事実婚は成立しない
  2. 住民票を事実婚の証明にする
  3. 法律婚と同様に、事実婚においても法律が適用される
  4. 適用されない法律もあるので通常の結婚よりも障害が多い
  5. 実質的なデメリットを理解したうえで事実婚を決断する

全てを総合して考えると、特別な事情がない限り法律婚を選択したほうが得策と言えるでしょう。しかし、事実婚は“特定の人たち”にとって大切な制度であることも事実です。

また、フランスでは結婚の形式にとらわれずに事実婚を選択する夫婦が増えています。そのため、周囲の理解も暑く、事実婚に対する扱いも日本より先進的です。

日本では、事実婚に対してマイナスな印象をもつ人もいるようです。

不倫や浮気とは違い、純粋に婚姻生活を送っているだけなのに、なんだか切ないですね。
本人だけでなく周りの人間も理解を深めていく必要がありそうです。

Top