離婚の原因が「妻」にある場合の離婚方法

一昔前は離婚の原因は夫の浮気や浪費癖など男性にその原因があることが多かったのですが、最近は妻の側に原因がある離婚事案が増えてきました。

ネット上の解説サイトも昔は女性を意識したものが多く、妻の立場に立った作りのものが多かったですね。

離婚事案もそうですが、お互いの権利や利益が絡んだ事案は綱引きのようなもので、どちらの立場に立つのかによって説明の仕方が異なってきます。

本記事では離婚原因が「妻」にある場合の離婚方法について、夫側の立場に立った離婚の方法について解説します。

離婚原因が妻にあることは多いのか

夫婦間の問題や離婚事案の相談の現場では、全体を見ればまだ妻側からの相談数の方が若干多いのですが、男女数の差は確実に縮まっている印象があります。

実際の離婚事案では確定的な「原因」がどちらにあるのかということは一概に言えず、様々な事情が積み重なって離婚に踏み出すケースがほとんどなのですが、夫側が訴える理由としては「性格の不一致」が一番多いと思われます

この理由はまさに「何が決定打になったというよりは諸々積み重なった結果、価値観が合わないということが分かったから」ということを意味します。

他には妻の浮気なども結構相談数としては多い方です。

これ以外にも離婚に至る原因は様々あるので、次項で解説していきます。

原因別の離婚方法・離婚のポイント

この項では妻側に起因する各種の離婚原因について取り上げ、その原因別に離婚方法やポイントを解説します。

【原因1】浮気/不貞行為

浮気は法律上の「不貞行為」といいますが、妻の男性関係を離婚原因に訴える相談者も増えています

不貞行為は民法上認められた離婚事由の一つにあたるものですが、これを理由に裁判で争うにはポイントがあります。

一つは、不貞行為が1度きりの場合は裁判上では原則として離婚が認められないということです。

理由としては、一度きりの過ちはしっかり話し合ったうえで、夫婦の絆で乗り越えて行けというのが裁判所の見解となるからです。

従って裁判で不貞行為を理由に離婚の可否を争うには、妻が二回以上、他の男性と不貞行為に及んだ証拠を集める必要があります。

不貞行為は「男女間の肉体関係」がなければ成立しないので、ホテルに入る、出てくる際の証拠写真などを収集する必要があります。

裁判外で協議離婚を目指す場合は上記にとらわれる必要はありませんが、例えばメールやホテルの領収書などを示して浮気の事実を認めさせ、その事実があった旨を一筆書かせるなどしておくと慰謝料請求などの際に有利になります。

【原因2】借金

借金を理由に裁判で離婚を争う場合には少し注意が必要です。

というのも借金は民法上の直接の離婚事由には入っていないからです。

借金が多額にあるからというだけでは足りず、具体的に夫婦関係にどのような問題を生じさせているのかという視点が必要です。

借金が関係する法定離婚事由としてはまず、夫が病気で働けないなどの事情があるのに、妻に浪費癖があり借金を重ね、家に生活費を入れてくれないなどの事情があれば民法770条の「悪意の遺棄」にあたるとして主張が可能です。

借金はあるけれど夫婦としてちゃんと助け合いながら暮らしている場合はこの主張はできません。

また同法に定めのある「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」を主張することもできます。

この場合妻が浪費によって借金を重ね、度重なる夫の忠告にも耳をかさずにやりたい放題など、もはや夫婦としての絆が消滅し回復が望めないような状態でなければなりません。

【原因3】モラハラ/暴言

最近社会問題にもなっているモラハラ(モラルハラスメント)も離婚の理由になるのですが、法定の離婚事由には直接挙げられていません。

そのため裁判上で離婚を争うには、妻のモラハラ行為が夫婦間の絆を壊し、修復不可能なまでに貶めたため、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるということを主張しなければなりません。

妻が弱い立場の夫に人格を傷つけるような言動を繰り返し、夫はこれに反抗できないために精神を病んだり、激しい苦痛を強いられているということを証明しなければなりません。

証拠集めが比較的難しいのですが、日頃の暴言や嫌がらせをメモしたり、可能であれば録音・録画しておくと強力な証拠になります

相談機関への相談履歴も可能であれば書面などにして用意しておくと良いでしょう。

また医療機関にかかっている場合は診断書なども証拠になります。

【原因4】セックスレス

セックスレスの定義は考え方によって異なるので一概には言えませんが、離婚事案で言うところのセックスレスとは特段の理由もないのに相手からのセックスの要求を拒否し続ける行為をいいます。

夫婦であれば通常セックスは自然な行為であり、正当な理由もなく拒否することは認められないのです。

実際に裁判でこれを理由に争うにはセックスレス状態であるだけでは足りず、法定離婚事由の一つ「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたらなければなりません。

従って、セックスレスだけを理由に離婚を主張するのは難易度が高く、これに加えてすでに愛情が冷めており長期の別居期間があるなどの事情が必要になってきます。

妻が不倫をしており夫とのセックスを拒否するような場合は別に不貞行為を理由にした主張も可能です。

【原因5】義理の父母との不仲

義理の両親との不仲は離婚事由とは原則として認められることはありません。

そもそも義両親は夫婦とは別個の存在であり、言ってみれば無関係な存在だからです。

ただし、義両親との不仲が下地となって夫婦仲が完全に崩壊し、回復の見込みもない場合は民法上の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すれば裁判上で離婚が認められます。

例えば義両親とのトラブルに際して妻が夫に味方するどころか、逆に夫を責めて侮辱を加え夫婦関係に亀裂を生じさせ、このような行為が改善する見込みがなく、もはや夫婦の絆は回復しないというような状態であることが必要です。

多くの場合、義両親との問題よりは夫婦間の直接の問題(不貞行為など)を合わせて主張していくことになります。

他の理由から別居が長く続いている場合はこれを理由として離婚を認めてもらいやすくなります。   

妻に離婚の原因がある場合の「お金の問題」

離婚を考える場合にはお金がらみの問題が出てくるので面倒ですが、妻に離婚の原因がある場合には慰謝料が取れる可能性があります。

子どもがいる場合には養育費についても気になるところです。

この章では慰謝料と養育費について見てみましょう。

①慰謝料はどうなるのか

妻に原因があって離婚する場合は夫が慰謝料を請求できるケースもありますが、すべての事案で可能というわけではありません。

性格の不一致や価値観の違いなどで離婚する場合は特に相手に非は無いので慰謝料は請求できません。

慰謝料というのは精神的な損害に対する償い(慰謝)の名目で支払われる金員ですが、この章で取り上げてきたような妻の不貞やモラハラ、暴言などは明らかに夫に損害を与える行為ですから慰謝料の請求が可能です。

正当な理由なくセックスを拒否されることも精神的に損害を負うので同様です。

借金も、これが原因となって満足な生活ができず不遇な環境に置かれた、義理の両親とのトラブルの際に両親と一緒になって夫を責めたて侮辱した等の場合も慰謝料請求が認められます。

しかし慰謝料の金額についてはケースバイケースで異なります。

精神的損害の軽重、慰謝料支払い義務者の収入や資産状況によって額が変わってくるからです。

一般的な家庭を考えると、概ね50万円~300万円程度に収まることが多いようです。

②養育費はどうなるのか

養育費については慰謝料とは全く異なるものですので扱いも異なります。

例え妻の不貞行為が原因となって離婚するような場合でも、養育費については妻の非は無関係にして考えなければなりません。

それは養育費は子供の養育の為に必要なものであり、妻の行為とは無関係だからです。

妻が不倫をしたとしても、夫の子であることには変わりはないので、子の養育に必要な費用については必要があれば夫も支出しなければなりません。

具体的には夫と妻の収入やどちらが引き取って面倒を見るのかなどの事情が絡みますが、

収入の少ない妻が子を引き取って育てる場合は夫に養育費の支払いが必要になります。

親権を獲得するためにできること

妻側に離婚原因があっても、親権については事実上妻側が有利に考えられる傾向がある点には留意が必要です。

母親が育児放棄をしているような場合は夫が親権を取りやすいですが、そうでない場合は例え妻の不倫が原因となるようなケースでも、基本的に裁判所は子の養育は妻側が適していると考えることが多いのが実情なのです。

夫側としては、妻が子の養育に適さない人物だということを主張し、同時に自分の養育実績を証明することで親権を取りやすくなります。

例えば妻が浮気をして家を空けている時に子供の食事を作ったり、生活の面倒を見ていた場面をリアルに主張していきます。

また子供の環境を変えないように努力することも親権を取るには重要で、例えば離婚に伴って子が転校しなければならないようなことのないように配慮している姿勢を示すと有利になります。

まとめ

今回は妻側に原因がある離婚について色々と見てきましたが、裁判上で離婚が認められる原因については男女でも変わりはありません。

気に留めておくべきは子の養育費についてで、例え妻側に不貞行為など離婚原因を作った非があっても、子の養育とは切り離して考えるため夫の負担は変わりません。

慰謝料については相手に非があれば請求が可能ですので、裁判上で離婚を争う場合はもちろん、話し合いによって離婚を目指す場合でも証拠の収集はしっかり行っておきましょう。

離婚・慰謝料の問題をなくすため、ソーシャルメディアで共有をお願いします。
「今すぐ離婚したい」「慰謝料を絶対にもらいたい」とお考えの方へ
ひとりで悩んでいませんか?あなたは1人ではありません!
弁護士を探す
当サイトでは離婚問題を専門に扱う女性弁護士のみを紹介しています。
実績・経験豊富な離婚に精通したスペシャリストばかりです。離婚交渉を有利に進めてくれる女性専門家に相談してみませんか。 離婚問題につよい女性弁護士を検索する
計算する
「離婚すると慰謝料はどのくらいもらえるの?」「離婚後どのくらいの生活費がかかるの?」とお悩みなら、下記の自動計算シミュレーターで簡易計算してください。
解決する
離婚問題は浮気やDVなど要因が多岐に渡り、その解決方法もそれぞれ違います。
離婚を有利にすすめる為にはどうしたらいいのか?どのような準備が必要か?分かりやすく解説しています。

離婚問題、ひとりで悩んでいませんか?アナタはひとりじゃありません!無料相談!!数多くの離婚問題を解決へと導いてきた弁護士を紹介いたします。親身になって相談にのってくれる弁護士はコチラ

トップへ戻る