「離婚したい」と思った人が、今すぐ知るべき法的手続き

「離婚したいと思っている。しかし、何をすればいいか分からない」初めて離婚問題に直面した人なら、そうなるのは当然のことです。

もし離婚したいと考えたなら、離婚の手続き方法から夫(妻)とのトラブル回避の方法、さらに離婚後の生活まで見据えて情報を集める必要があります。まず知るべきは離婚に関する法的手続きについてです。

なぜなら、話し合いにより協議離婚で解決するにせよ、調停離婚、裁判離婚に発展するにせよ、離婚に関する法律知識を知ることで、自分の置かれている立場、解決方法などがクリアに見えてくるからです。

離婚したいと考える人に必ず知ってほしい法的手続きのポイントを解説します。

なぜ離婚したいのか明確にする

「離婚したい」という気持ちは急に起こるものではありません。婚姻生活を続ける中で相手に対して不満や怒りが蓄積し段階的に離婚欲求というものが高まっていくものではないでしょうか。

「何となく性格が合わないと感じる」、「将来的な婚姻生活に不安を感じる」という漠然とした離婚願望から「セックスレスが続いてる」、「夫が借金をしている」など問題が深刻化している状況。さらに「DVに耐えられない」、「浮気に我慢できない」などの被害・実害が生じているケースまであります。

まずは「本当に離婚したいのか」、「やり直したいのか」という自分自身への問いかけが必要です。どちらの方向に進むにしても、より良い方法で解決を目指したいものです。そのためには弁護士など離婚の専門家から法律的な観点、さらに事例・経験を踏まえた客観的な意見を聞くことも有用です。

離婚したくてもできないケースがあることを知る

それでも離婚したいと強く思ったら、まずは離婚できるかどうかを知る必要があります。

当人同士の話し合いにより協議離婚ができれば理想ですが、離婚は一方が望めば簡単にできるというものではありません。相手が離婚を望まないとなれば、話しはこじれます。

離婚するためには、離婚事由というものが必要で、相手に不法行為があることが前提になります。これは慰謝料請求においても同様で相手の不法行為に対して請求をおこなうことになります。

離婚するための5つの離婚事由

民法で定められた5つの離婚事由というものがありますので見ていきましょう。

不貞行為

不貞行為とは、浮気・不倫のことで「配偶者を持つものが別の人と性的関係を結ぶ」ことを指します。特定の浮気相手との性交渉だけでなく、風俗店などでプロを相手に性交渉を持った場合も不貞行為とみなされます。

この不貞行為を「離婚事由とする」、「慰謝料請求する」という場合には、まず相手の特定が必要です。そして特定できたら不貞行為の証拠が求められます。調停、裁判では「メールのやり取りがあった」、「手をつないでいた写真がある」などの証拠では弱いため、明らかに性交渉を持ったという「ホテルに出入りする写真・動画」などの証拠が必要になります。

この不貞行為を立証するために探偵に浮気調査を依頼する人も少なくありません。

悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、配偶者を見捨てたり、追い出したりすることです。具体的には、「勝手に家を出て別居したり」、「精神的に追い詰めて家を追い出す」ことなどがあげられます。悪意の遺棄では相手の一方的で身勝手な行動により精神的な苦痛を受けたとして離婚事由が認められます。

ただし、出産や病気療養のため実家に帰る、仕事のため単身赴任・長期出張など正当な理由があれば悪意の遺棄は問われません。

3年以上の生死不明

配偶者が消息を絶った、蒸発した、行方不明になって3年以上経過した場合には離婚事由として認められます。行方不明では、病気の発症、事件に巻き込まれたというケースもありますが、多くは愛人との駆け落ちにより消息不明、生死不明になったという事例が多く見られます。

3年以上の生死不明を離婚事由とするためには、警察への捜索願を出してそれが受理されたことを証明する「捜索願受理証明」が必要になります。

回復見込みのない強度の精神病

夫が病気になった場合には妻はそれを助け夫婦で協力しあわなくてはならないと民法では定義されています。しかし、その病気も強度の精神病、統合失調症、躁うつ病、認知症の場合には、片方の生活に大きな負担を強いることになります。そのため婚姻生活から解放してあげるべき、つまり離婚事由として認めるとされています。

但し、病気の程度や症状によっては裁判所が「婚姻の継続が相当である」として離婚を認めないケースもあります。

認知症など重い病気の場合には、当人が自身で「離婚する、しない」を判断することが難しいため、離婚裁判をおこなうまえに「成年後見人」の申立てが必要な場合があります。

婚姻を継続しがたい重大な事由

婚姻を継続できない理由は様々あります。それを一括りにして判断するのは難しいため、婚姻を継続しがたい重大な事由として裁判所はその都度判断します。ただし、その判断の中には裁判官個人の考え方に大きく委ねられる面がケースがありますので注意が必要です。

その中には当事者として到底納得しがたい判決結果が出ることもあります。そうならないように自身に有利な解決を望むなら、客観的な証拠と論証を代弁してくれる弁護士にサポートを依頼するのが有効です。

ケース別の離婚事由

婚姻を継続しがたい重大な事由は様々です。ここでは代表的な事例をまとめました。

性格の不一致

性格の不一致は離婚理由として最も多い原因です。性格の不一致の中には、性格的な相性や好き嫌い、人生観や価値観などの相違も含まれます。

裁判では性格の不一致だけでは離婚理由として認められにくく、性格の不一致に端を発して「精神的に病んでしまった」、「同居に耐えられなくなった」など、具体的な夫婦生活が壊れた理由が必要になります。

DV、モラハラ

DV、モラハラが離婚事由として認められるかは程度によります。夫からのDVはめったになく、軽く叩かれたという程度ならDVには該当しません。

ただしDVが日常的に繰り返されている場合には離婚事由として認められます。その際には、被害を受けた箇所の写真、音声の録音など具体的な証拠を残すとともに、医師の診断書、警察への届出をおこないましょう。

また、相手に抗議してもDVが止まない場合には、「避難する」、「別居する」などして、抗議を具体的な行動に移さないと、甘んじて受け入れていたと取られる場合もありますので注意が必要です。

セックスレス、性的異常

セックスは婚姻生活を円満にするものであり、夫婦生活には必要であると法廷の場でも認められています。そのため一方がセックスを拒否しそれが長期間に及んだ場合には離婚事由として認められます。また、一方が拒んでいるにも関わらず異常な性行動を要求されたというケースも同様です。

セックスレス、性的異常がある際には、その行動や期間などをメモに証拠として残しておきましょう。

嫁姑問題、親族との不仲

嫁姑問題で悩んでいる、親族との不仲で困っているというケースは今も珍しくありません。過度な嫁イビリ、暴言、小言などを理由に離婚したいという人は少なからずいますが、これだけでは離婚事由になりません。

離婚はあくまで夫婦間の問題であり、夫婦以外の人間関係のもつれだけでは離婚は認められないというのがその理由です。嫁姑の問題に「夫が逃げて関与しようとしない」、「夫が姑側に立って嫁を非難した」など、夫側に問題行為があることが前提になります。

嫁姑問題を離婚事由とするためには、姑の発言、夫の発言などを具体的なメモを残しておく、ボイスレコーダーに残しておくことが必要です。

犯罪行為

犯罪も交通違反などの軽微なものから、殺人のような大事件まで様々です。夫(妻)の犯罪行為を離婚事由とする場合は、その事件の規模や内容(悪質性、反社会性)本人の反省、再犯の可能性、さらにメディアでの報道の大きさなどがポイントになります。

その犯罪により夫婦生活にどのような影響が及んだか、一方の生活にどれぐらい悪影響があったかが重要になります。

宗教活動

宗教活動は個人の自由であり、妻(夫)が宗教活動に熱心だからといって離婚事由にはなりません。例えば「妻が無断で家計収入から宗教団体に寄付していた」、「妻が宗教加入を強要するようになった」など、一方が宗教活動に熱心なあまり夫婦生活に大きな支障が出ている場合でなければ離婚事由になりません。

生活費を入れない(勤労意欲欠如)

夫婦はお互いに協力して生活を維持するという義務があります。それにも関わらず理由なく家庭に生活費を入れない場合には離婚事由に該当します。また、夫が仕事に就かず毎日ぐうたらしている、ギャンブル三昧で生活費を入れないなども勤労意欲の欠如となり離婚事由になります。

お金を受け取った時の金額、日時をメモして残す、預金通帳・クレジットカードの明細をコピーするなど証拠を残しておくことが必要です。

別居

一方が別居したいと主張し家を出たとします。婚姻生活の拒否とも受け取れる行動ですが、単に別居しただけでは離婚事由にはなりません。「別居して女性(男性)と同居していた」、「別居していた期間は生活費を入れてくれなかった」という、不貞行為、婚姻費用支払いの拒否など、婚姻生活に支障をきたす不法行為があった場合に離婚事由となります。

ただし同意の上、別居していたとしても別居期間がおおむね5年間以上経過すると離婚事由になるとされています。

離婚時に相手に請求できるお金の種類を知る

離婚したいと考えている人の中には、離婚後の経済的な問題を心配する人も多いと思います。相手に問題があって離婚するのに何の対価も得られないのは納得できないことです。離婚して自立する際にお金は大切です。ここでは離婚時に相手に請求できるお金について説明します。

離婚慰謝料

離婚の慰謝料は相手側に原因があり、それにより精神的に苦痛を受けたため対価として支払ってもらうものです。この慰謝料の金額ですが、離婚における不法行為もそれぞれケースが違い、精神的苦痛を金額にするのは難しい面があるため基準となるものはありません。

金額が決まる要素としては、苦痛の度合いとともに支払う側の以下の様な条件で決まることが一般的です。

  • 年齢
  • 年収
  • 社会的地位
  • 子供の人数

これまでの判例などを見ると相手が全面的に不法行為をおこなった場合でも200万円~500万円の間というのが一般的な金額感です。ただし、相手側が有名人、資産家の場合には、離婚における精神的苦痛、社会的な面でもこうむる被害が大きいとして巨額の慰謝料が支払われることもよく見られます。

養育費

養育費は親権を持って子供を養育する側に対して、子供が成人するまで毎月支払う生活費用のことです。一般的に支払う側の年収、子供の人数、子供の年齢などの条件により決定されます。具体的には裁判所が計算式を公表していますのでこれを元に算出します。1人あたり2万円~6万円ぐらいの金額が多く見られます。

養育費で注意したいのは、途中で支払いがストップされてしまうケースです。成人まで約束通り養育費が支払われるケースは3割にも満たないと言われています。理由として支払う側の経済的困窮、死亡、病気、再婚などがあげられます。養育費の不払いが起きないように弁護士に対策を相談することが有効です。

婚姻費用

婚姻費用とは夫婦生活を維持するうえで必要な費用のことです。仮に別居している場合でも、相応の金額の分担を婚姻費用として請求することができます。これは別居はしてても離婚はしてないわけですので生活費は支払われるべきと民法でも定義されています。

婚姻費用も養育費同様に裁判所が算定表を公開しており、この基準をもとに請求することになります。

財産分与

財産分与とは夫婦の財産を分けるものです。結婚後に築いた財産(不動産、預貯金、株など)は共有財産なので、離婚するにあたってはそれを分けましょうというものです。結婚前のそれぞれの財産は含まれません。また、相続で得た財産も対象外になります。

財産分与には大きく3つの考え方があります。

  • 清算的財産分与:財産を築いた貢献度に応じて分けようというものです。
  • 扶養的財産分与:離婚後に一方が生活的に困窮する場合に、当面の生活費を加算して財産分与するものです。
  • 慰謝料的財産分与:一方が迷惑をかけた場合などに慰謝料と財産分与を合わせて支払うという考え方です。

退職金、年金あるいは借金なども財産分与の対象になります。

離婚の権利請求について知る

離婚する際に自分が求める権利が認められるか心配という声が聞かれます。慰謝料などお金の問題とともに心配なのが子供の問題です。離婚後の子供の親権、面会交流などについて解説します。

親権

親権というものは、子供が成人するまでの「身の回りの世話」、「教育を受けさせる」、「子供の権利を守る」など、親としての権利と義務を有することです。

離婚時に親権獲得が争点になることがありますが、裁判所は「子供の健全な成長」、「安定した生活」、「親との信頼関係」などを見て、どちらの親が親権を持つに相応しいかを判断します。

監護権

監護権とは、親としての権利は相手に任せ、自身が子供と一緒に生活し身の回りの世話、教育をする身上監護のみを受け持つことです。

親権問題でどちらの親も譲らないということがあります。そのようなケースで監護権をもとに解決が図られることがあります。

例えば「男親側は跡継ぎとなる子供が欲しい」、「女親側は自分が産んだ子だから自身で育てたい」というような場合に「権利を分けましょう」というある意味折衷案のようなものとして使われます。

面会交流

親権を持たない片方の親が、子供と会ったり、電話などでやり取りすることを面会交流(面接交渉)といいます。離婚しても子供の親であることは変わりませんので、面会する権利を保障するべきというものです。ただし、子供も10歳以上になると本人の意思が尊重されるようになりますので、子供が「会いたくない」と言えば会えなくなる可能性があります。

また、親に何らかの問題(DV癖、素行不良など)がある場合には、子供にとって良くないと判断され裁判所が面会を認めない場合があります。

離婚問題が解決しないケース

これまで解説したように、離婚したいと考えてもお金の問題、子供の問題などで、すんなり離婚できないケースがあります。離婚する夫婦の約8割が協議離婚により別れますが、話し合いで解決せずに調停離婚、裁判離婚に発展するケースは年々増加しています。

法廷で解決するケースを見ていきましょう。

調停離婚

「離婚したいが相手が応じない」、「離婚の条件に納得できない」場合には裁判所に申立てをおこない調停離婚をすることになります。そこでは裁判所の調停委員が間に入って、話しを聞き、調整をおこないながら解決を目指します。(月に1回程度、家庭裁判所で面談がおこなわれます。複雑なケースでは1年以上かかることもあります)

この調停離婚が成立すれば不服を唱えてもくつがえりません。調停では、「相手の不法行為をうまく説明できない」、「自分の主張ができない」ばかりに納得きない条件で調停が成立してしまう場合があります。また、調停委員が「決めつける」、「話しを聞いてくれない」などコミュニケーションが上手く取れないこともあります。調停離婚で裁判所に対して主張したい場合には弁護士を代理人にすることが有効です。

もし、調停離婚が成立しない場合には、審判離婚、裁判離婚で決着をおこなうことになります。

審判離婚

調停離婚が成立しない場合に家庭裁判所が、独自の判断で審判をおこなうことがごく稀にあります。当事者にとって長期化することが良くないと裁判所が判断した場合に裁判官が職権を用いて離婚問題を収束させます。この審判に対しても2週間以内なら異議申し立てをすることはできます。

裁判離婚

調停を経て、それでも解決できない場合には訴訟を起こして裁判により解決を目指すことになります。(裁判所が調停での解決は無理と判断した場合に最初から裁判離婚になることもあります)途中、裁判所から和解案が示されることもあります。

裁判離婚になると、仮に第一審で勝訴したとしても、相手が控訴をおこない再審となった場合には期間も長くなります。解決まで1年以上かかることもありますので、双方ともに精神的に大きなストレスを抱えて裁判で争うことになります。泥沼の離婚と言われる状態がまさに裁判離婚です。

裁判離婚では、弁護士に手続きや主張・立証などをサポートしてもらうことで、時間的にも精神的にも負担が大きく軽減されます。また、裁判でも有利な判決が得られる可能性が高くなります。

まとめ
離婚したいと思っても、その決断は慎重におこなわなくてはなりません。離婚するにしても、婚姻生活を続けるにしても、当人同士で納得できるまで話し合うことが重要です。
しかし、相手方の一方的な理由により「話し合いができない」、「離婚を切り出された」など、すでに離婚トラブルに発展している場合には自分の身は自分で守るしかありません。

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